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表2 障害者職業能力開発推進会議(2015)で示されて   いる障害者職業訓練の課題教育訓練機関等を委託先として実施するコース),②実践能力習得訓練コース(実践的な職業能力の開発・向上を図るため,企業等を委託先として事業所現場を活用して実施するコース),③e-ラーニングコース(施設への通所が困難な障害者等を対象に在宅IT技能等の習得を図るため,インターネットを利用して実施するコース),④特別支援学校早期訓練 (特別支援学校高等部等に在籍する生徒を対象に実践的な職業能力の開発・向上を図るため,企業等を委託先として事業所現場を活用して実施するコース),⑤在職者訓練コース(在職中の障害者を対象として,雇用継続に資する知識・技能を付与するコース)がある。1.障害校における職業訓練の強化について ・特別支援障害者向け訓練コース等新科設置のためのノウハウの向上・国立障害校の運営に係る財源措置2.一般校における障害者職業訓練の強化について・障害者専門コースの設置促進3.障害者の態様に応じた多様な委託訓練の強化について・委託訓練活用促進に向けた効率的な運営等・新規委託先機関の開拓・新規参入の促進・コストに見合った適切な委託単価の設定・就職に資する効果的な訓練とするための質の向上4.効果的な職業訓練の実施・就職促進のための関係機関の連携強化について・地域における実効あるネットワークの構築5.障害者職業能力開発を推進していく上でのその他の課題・障害者の特性等を踏まえた適切な評価(就職率)・キャリア形成に資する在職者訓練の推進-5-上述のように障害者職業訓練は時代の流れに沿って少しずつ形を変えてきている。一方で,障害者職業能力開発推進会議(2015)は障害者職業訓練について表2のような課題を提示している。これらの課題は前節で示した障害者職業訓練のカテゴリーごとに示される形となっている。詳細は同報告書を見ていただきたいが,大まかに言えば,対象者の拡大(重度障害者,在職者),職業訓練の質の改善,職業訓練の安定供給のための環境整備(資金・予算,職業訓練場所の確保・開拓等)といったことが示されている。これらの指摘はさらに障害者職業訓練を時代の変化を見据えたものにいくためのものであり概ね妥当であると言えよう。ただし同報告書では十分には取り上げられていない課題もあるのではないかと考える。本稿では,私見ではあるが,(1)職業訓練場面における合理的配慮viiの提供義務,(2)障害者対象ではない一般訓練コースにおける発達の問題が疑われる訓練生への対応,(3)他機関との連携・ネットワーク構築業務を誰が担当するのか,の3点を取り上げる。4.1  合理的配慮の提供義務2016年4月より障害者差別解消法及び改正障害者雇用促進法が施行された。これらの法律施行で大きなトピックとなっているのが,差別禁止及び合理的配慮の提供である。障害者の企業採用時や働き続ける上での差別禁止や合理的配慮の提供について規定するのが障害者雇用促進法であるが,雇用場面以外での差別禁止・合理的配慮の提供について規定するのは障害者差別解消法である。職業能力開発校では職業訓練生は企業に採用されることを目指すが,あくまでも雇用前の職業訓練というサービスを利用しているので,職業訓練受講に関しては障害者差別解消法の範疇となる。また,障害者差別解消法における合理的配慮提供は,民間事業者では努力義務となっているが公的機関は義務となっている。障害者へ職業訓練を行う施設は,一般校であろうと障害者4. 障害者職業訓練の課題

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