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の看板が付いている訳でなく、商店の二階部分以降が切り立った板状(立体形状も有)で、モルタルや銅板、タイル、レンガ等の装飾が施された様がまるで看板のように見えることから名付けられた。命名者は、東大生産技術研究所教授の藤森照信氏。銅板を細かく各種形状に切断、はぜ加工していろんな形に貼り合わせた建築物を岡崎の康生町宝金堂むかいの竹村屋さんに今でも見ることができる。この手法が今なお現役で活躍しているところが富山の高岡市内でも見られる。高岡はフェーン現象で有名なところ。火事のとき火の粉が舞ってきて類焼しないよう不燃材料で覆う格好の材料である上に意匠性も良く商店の外装として今に残っていると思われる。板金という名称はいつの頃から使われてきたのか?他の名称ではブリキ屋、鉄葉板(ブリキ)屋、錻力屋と呼ばれた時代があったが、トタン屋さんと呼ばれることは無かった。扱う材料は亜鉛鉄板のトタン板がほとんどであるのに、ブリキ屋という愛称で呼ばれていた。加工できる金属が明治の始めに我が国に輸入され最初に屋根に張った板がブリキであったのであろう。器用にはさみ(金属を切る鋏で輸入品)を使い、たたいて曲げて形をつくり、半田付けをしていろんな細工物をこしらえることが一般化した明治の中頃くらいに、こんな愛称で呼ばれ始めたのだろうか。板金という名称は戦前からなのか戦中からなのかわからないが、○○板金工作所という名称がたくさんあった。仕事の中身が施工ばかりでなく、加工の範囲が多かったためである。ガラボウの筒とか繊維関係の綿打ち機械のダクトの加工専門や、展開物を得意としていろんな形のものを作り、また、打ち出し・絞りを取り入れ、急須やヤカン、銅壷(どうこう)、茶筒等の工芸品を加工製造して生活していた。現在は、長尺材料がたくさん出てきて屋根は大型化し、屋根、壁、樋の施工に特化してきている。加工だけで生活するには仕事量も少なく、手間をかけた加工物は日用品としてはコスト高となり事業としては難しい時代となった。                (後編へつづく)2)雨仕舞い納め 雨水を外に排水する板金加工の水みずみち道処理のこと。屋根、外壁の水切に流れる水の流れを要領よく仕舞いして室内に浸入してくるのを止める。一文字葺のたてはぜを横はぜが切断しているのもそのひとつ。横はぜは水平に通っているが、たてはぜは横はぜで止められる。3)一文字葺き 神社仏閣の銅板屋根は概ね一文字葺で葺いてある。銅板一枚は葺足135mm、幅560mmくらいが標準、板の四方をはぜ加工して葺いてある。横向きのはぜは一直線に通るがたてはぜは135mm 一段ごとに560/2mmずれて水の流れを切っている。<用語解説>1)はぜ加工 板金加工において、板と板をつなぐときの加工の一種。板の縁をレ形に170°位に曲げ、レ形どうしを引っ掛けてつぶすことにより接続する。単純にかさねて水の浸入を止めるより、水の浸入を防ぎやすい。-26-

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