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沖縄職業能力開発大学校 寺内 越三(1)全国の大学進学状況と学生募集の状況文部科学省の「大学基本調査」によると、1992年の18歳人口は205万人である。大学の入学定員が47.3万人の中、高校卒業者の進学率は32.7%、志願者数は92.0万人、志願倍率は1.94倍であった。その後、少子化が進み2011年には18歳人口は120万人まで減少した。その一方で、高学歴化により入学定員は57.8万人に増え、進学率も53.9%と向上したが、実質的な志願者数は67.5万人まで減少し、志願倍率は1.17倍となった(※1)。2009年頃から一部大学において志願者数が入学定員を下回ったことから、大学全入時代を迎えたと言われ始めた。志願者数が減少する中、大学や専門学校は受験生を獲得する為に、高級感のある資料を配布したり学内イベントを開催したりするなど、工夫を凝らした募集活動を展開している。高校生の休日や夏休みに合わせてオープンキャンパスを開催し、見学説明会や体験授業を行うだけでなく、記念品の配布や無料送迎バスの運行、学食無料体験でもてなすなどサービス競争は過熱している。(2)沖縄の大学等の進学状況2014年、沖縄県の大学進学率は37.7%と全国最下位であった。これは進学希望者が少ないわけでは無く、募集定員数が少ないことに起因するという見方がある。同年の沖縄県の高校卒業者数14,649人に対して、県内9つの大学・短大の総定員数は4,337人。進-7-学許容率は29.6%となり、同じ島国である北海道の50.0%と比較しても大幅に低いことが分かる(※1、2、3、4)。また、2013年、進学時の県内残留率は大学56.2%、短大72.5%であり、他県と比較して県内志向が強いことも分かる(※5)。定員数が少なく県内進学希望が多いことから、一般入試の志願倍率が4倍以上を保ち続ける大学もある。このように沖縄県は大学全入時代に至っていないと言える。その為、県内での大学進学が叶わなかった者は、県内の専門学校や県外の大学等への進学を選択しなくてはならない。県内には専門学校44校、医歯看護系養成校が3校あり、人口に対する専門学校数は全国1位である。また、2014年の沖縄県の専門学校進学率は、新潟県の27.4%に次ぎ25.3%と全国2位であった。大学進学率は全国値53.8%に対して沖縄は37.7%で16.1ポイント低いが、専門学校への進学率は全国値17.0%に対して25.3%で8.3ポイントと高く、専門学校への進学割合が非常に高いことが分かる(※2)。(3)沖縄における学生募集の状況以上のような沖縄独特の進学状況の中で、県内の高校生に対しては県内専門学校だけでなく県外の大学等からも積極的な募集活動が行われている。2015年6月に那覇市で開催された進学相談会には、県内の大学・短大が6校、専門学校が44校参加したのに対して、県外からは大学・短大が93校、専門学校63校が参加した。このように、県外から県内比約3倍の大学等が募集活動に訪れている。この相談会は、沖縄本島だけでなく宮古島と石垣島でも開催されており、離島に住む約3,000人(※6)の高校生も1. はじめに沖縄能開大生が持つ「発信力」を生かした 広報活動についての成果報告

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