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認定訓練校では国内初の木造校舎(H9年建築)実習棟H27年度入校式遠野高等職業訓練校 校長 照井 文雄岩手県のほぼ中央に、四方を山に囲まれた盆地に、知る人ぞ知る「日本のふるさと、民話のふるさと遠野」がある。“むがぁし、むがぁし、あったずもな…”で始まり“どんどはれ”で終わる遠野昔話は現代人の心になつかしさと癒しを与えてくれる。その遠野盆地には、南部藩の城下町に広がる在来工法を用いたセンガイ造りと瓦屋根の遠野型住宅と、なまこ壁を用いた白壁の土蔵が密集し、田園地帯を見渡せば、ほっこりとしたかやぶき屋根の南部曲がり家が今でも点在している。その郷に、地場産材の唐松を集製材として校舎に用い、黒瓦と白壁が特徴的な築18年の木造校舎の我が遠野高等職業訓練校がある。当校は昭和33年に岩手県知事の認可を受け「遠野技能訓練協会として独立した。当時は建築科・左官科・自転車科・木工科の普通訓練をはじめ、出稼ぎ-3-者のための技能講習等を実施し、多くの名工や棟梁を生み出してきた。昭和54年には認定訓練団体としての功績が認められ、労働大臣表彰を受賞した。その後、役職員の努力と研鑚により年々訓練生も増加し、平成8年度に国・県・市の補助をいただき新校舎が完成した。現在は、木造建築科・配管科・塑性加工科等の建築関連職種の外、事務科(パソコン・会計・コミュニケーション等の講習)・介護サービス科、洋服科等を実施し、遠野市民はもとより沿岸被災地の人材育成の場として広く利用されている。3-1 とおの技能まつり新校舎が完成したものの、当校は山のふもとにあり、知名度は低かった。そこで、ものづくりの大切さや建設業種に就業する若者の確保を兼ねた周知のため、平成11年第1回とおの技能まつりを開催した。訓練生の技能競技会や上棟式を模した餅まき、職人が焼くやきとりなど様々なイベントを企画し、多くの来場者を集め、山の中の訓練校の周知を図った。昨年第16回を迎えパワーアップし、訓練生によるミ1. はじめに2. 職業訓練の概要3. 地域に根ざした取組み日本のふるさと遠野に根付く「技能伝承と人財育成」―かやぶき屋根から介護まで―

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