3/2015
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千葉職業能力開発促進センター 秦  啓祐広島職業能力開発促進センター 小川 和彦近畿大学分子工学研究所 岡部 敏弘環境問題は、ものづくりに携わる製造業、そして情報・通信、サービス業、等あらゆる職種に関わってくる問題である。特に、ものづくりに関わる分野では、再利用できること、再生可能な環境配慮型であること、人体に影響の無い、有害物質を含まないものを生産する、等が要求されている。製造現場においては、現場に携わる人それぞれが環境に対する認識を強く持つとともに、これを継承させていく必要がある。そのためには、製造現場における人材育成の中に、環境をも含めた教育が必要となってくると言える。この環境問題を教育の分野から捉えた報告1)があり、これからの人材育成に環境問題は、大切な指導要素となってくると言える。環境への取り組み方はさまざまである。環境に対する基本は、ものを大切にする「もったいない精神」を持ち、身の回りの整理・整頓、そして家庭内で発生するごみの削減等に取り組むことであると言える。著者らは、これまで環境問題とものづくりの関係について訓練指導、材料等から報告2),3)してきた。本報告では、2014年版ものづくり白書の報告の中から、これからのものづくりに関わる人材育成の在り方について、そしてものづくりと密接な関係にある環境問題に対する昨今の取り組みについて報告する。一方、この2014年版ものづくり白書の報告を基に、環境に配慮できるものづくりの人材を育成するための指導に関する研修についても提案したい。-29-経済産業省から報告されている「2014年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)」4)の中で、企業と労働者の双方が構造変化に対応していくことが必要であり、企業が成長分野に進出していくことに併せて、労働者も能力開発によって新たな能力を獲得し、人材力を強化していくことが重要である、と述べている。我が国のものづくり産業は、若年者の就業者数の減少により海外に依存している部分があり、労働力を質・量の両面で確保していくことが喫緊の課題であると指摘している。その様な中、日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)(抄)の中で、戦略市場創造プランが計画されており、その中の一つに、クリーン・経済的なエネルギー需給の実現(再生可能エネルギー、蓄電池、燃料電池、省エネ家電、省エネ住宅・建築物等の省エネ技術関連製品・サービス等)がある。これと並行して、幾つかの企業では、新たな産業分野で新事業を展開しており、再生可能エネルギー・環境関連分野へ進出しつつある。一方、経済産業省の「2014年度ものづくり白書」の報告5)の中で、新事業展開企業が考える新事業展開を行う際の技能系正社員に対する研修について述べている。技能系正社員に求められる知識・能力の中で、これまで重要であった知識・能力は、「基礎的な加工・組み立て技術」、「段取り能力(作業手順、方法立案能力」であったが、これからは「製品の問題点1. はじめに2. ものづくり産業と人材育成環境に配慮したものづくり指導について

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