3/2015
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<参考文献>日本の行政の難しさは、民需主導型の中に於ける法的規制に拠る誘導的手法にある。その業務システムが既に確立されている場合には、法的規制によって効果を挙げることが可能であるが、その業務システムの完成形が未だ形造られていない場合には、法的規制のみでは最善の結果は得られない。自然災害を初めとする地震などの災害に対する規制に於いても、大きな地震が起こる度に新しい基準を導入し指導に務める訳である。規制基準が強められたからと言って、其れに拠って建物自身が即強くなる訳ではない。この時点では未だ、将来への期待値としての存在への可能性を示していると言える。其処から以降に建ち上げて行く建物に関しては効果が有るかも知れないが、今までに建てられて既に其処に存在する建物に関しては、その法律の判断に於いては不適格な存在となってしまうのである。日本の立地条件に於ける自然災害を初めとする地震災害を、宿命的な課題として、真に取り組んで行かない限り、日本の将来は見えて来ない。これ等の諸条件を確率論的要素としてのみ扱っている間は、日本の将来は見えて来ないので有る。伝統的建物も規制対象からは外される訳であるが、それは取りも直さず災害弱者の立場に立つ事を意味している。少なく共、研究に励み、其処に自助努力を促す形での時代的進歩を望む次第である。上記の実習に関する報告は、今年の東京雑学大学に於ける第995回「フィールド調査の始め方!」で講演し報告させて頂いた。日本学術会議に於いても日本の最高の英知が集う所として、各分野ごとの報告を受けて、活発な議論が為されている。2年前頃の目前の問題を抱えている頃とは、様変わりし、自信も取り戻したと言える。今後の商業活動に於いて、これ等の知見を取り入れて、民間レベルでの日々の活動の中に取り入れて行くためには、先取りとしての教育現場での教育的効果を導入して行く必要があると考える。それが教育現場における果たすべき社会的使命の一つである-27-1.角本邦久:「建築教育技法に関する実践的事例報告、-建築構成概念の把握と課題演習-」、千葉職業能力短期大学校、2014年12月(国会図書館蔵)2.角本邦久:「古民家における伝統的技術・構法に関する研究」、平成21年度総合制作実習卒業論文、(その1)~(その3)、指導・監修、関東職業能力開発大学校、(国会図書館蔵)3.角本邦久:「伝統的建築における取り組み:古民家における防暑効果について」、平成20年度総合制作実習卒業研究論文、指導・監修、関東職業能力開発大学校、(国会図書館蔵)4.角本邦久:「桐生市における近代化遺産建築物の調査、~近代化建築物の温熱環境の測定及びそれに基づく改善提案~」、平成19年度総合制作実習卒業研究論文、(その1)~(その4)、指導・監修、関東職業能力開発大学校、2008年3月、(国会図書館蔵)5.角本邦久:「世界遺産白川郷の合掌造りについて」、平成16年と考える。現在のシラバス作成時点に於いては、8割は標準に準じた内容であり、残る2割に新しい知見を入れて行く余地があり、此処に各教育者が日頃から取り組んでいる内容の知見を入れて行く可能性が秘められている。そのためにも各教育担当者は、新しい時代の動きや課題への取り組みに関しても、情報を探しに行くばかりでは無く、自らに情報が入って来るネットワーク構築なり、日頃からの実践的取り組み方法を持ち合わせているべく、其の心構えと努力とが問われる。そして、これ等の取り組みを可能にするためには、上におかれる管理職クラスの方々や有識者会議の方々が、進取の取り組みに対しての良き理解者であり、寧ろ積極的に新しい取り組みに対して啓蒙的に発言して行く資質を持ち合わせた方を置く必要がある。今日的状況下に於ける教育者としての自覚と研鑽とが問われる時代であり、その管理職にも同様の資質が問われる時代であると考える。これ等の目的を達成するための業務システムの確立が求められている。この機会に御一考頂ければ、幸いである。(此れからの時代の技術教育や能力開発も視野に入れた此の項目のための参考文献は、NO.6、7、8、12、13、14、15、19、20、21、22、23、24)。広く時代の要請に応えるべく、資料の活用をして頂ければ幸いで有る。4. まとめとして

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