3/2015
10/38

カバーしている。県内の専門学校の中には、オープンキャンパスの際にバーベキューやケーキバイキングを開催したり、離島からの渡航費用を負担したりする学校もある。また、県外の専門学校の中には、夏休みに東京のキャンパスへ2泊3日で招待する体験入学ツアーを開催するなど、沖縄独自の募集活動を展開する学校もある。このような状況下で、本論では2014年度に沖縄職業能力開発大学校(以下「沖縄能開大」という。)が、県内の工学系教育訓練機関としての存在感を示すために展開した、新たな募集活動とその成果について報告する。(1)沖縄能開大の特色沖縄能開大は1992年に沖縄本島中部の沖縄市に設置された。訓練学科は高校卒業者を主な対象とした2年間の「専門課程」6科(計125名定員)と、専門課程修了者を主な対象とした2年間の「応用課程」3科(計60名定員)が設置されている。他県の能開大専門課程と同様に生産技術科・電子情報技術科・電気エネルギー制御科・住居環境科の4学科の設置に加え、沖縄県の貿易・物流業と観光・ホテル業に対応した物流情報科とホテルビジネス科が設置されている。県内の大学・短大には文系学科が多く、工学系は琉球大学と沖縄工業高等専門学校、そして当大学校の3校のみである。(2)地域への広報活動毎年恒例の行事として、沖縄能開大の存在と、ものづくりやサービス技術を地域の方に知って頂く為に「沖縄ポリテックビジョン」を毎年11月に開催している。当日のメインイベントは小中学生を対象とした「ものづくり体験教室」と、学生有志による伝統芸能「エイサー」の演舞である。地域の方と能開大生が、ものづくりの作成指導や勇壮な舞の披露を通じて交流することで、学生の技術力の高さや活躍する姿を体感し、当大学校が優れた人材育成の場で-8-あることを伝えていく。この2大イベントを楽しみに、小学生の子供連れを中心に毎年2,000人を超える方々に来校頂いている。その他、県内で開催される様々なものづくり関連イベントやコンテストに出展・出場することで、沖縄能開大の技術力を地域の方に対して周知している。(3)従来からの募集活動11月に推薦入試を、翌年2月に一般入試を実施する。入試に向け、募集活動は県の高校総体が終了した6月頃から始まり、9月までに約3回の高校訪問を実施する。県内66の高校に対して学校案内とオープンキャンパス広報チラシ(以下「チラシ」という。)などを持参し、オープンキャンパスへの参加を呼びかける。オープンキャンパスは9月までに3回実施する。また、6月と12月には学外で開催される進学説明会などへも参加している。その他、高校生をクラス単位で招いた学校見学会や、教育関係者を招いた学校説明会を開催したり、近隣や離島の高校を訪問し出前授業を行ったりするなど、募集活動は12月末まで継続的に行われる。(4)地域の中での課題毎年このような広報・募集活動を行っているが、イベントや進学説明会の場で地域の方や高校生との会話から明らかになるのは、沖縄能開大の認知度の低さである。修了生の活躍により産業界では一定の認知を得ているが、地域では学校名や愛称(沖縄ポリテクカレッジ)が類似する近隣の専門学校等と混同されることがある為、地域の方や高校生に沖縄能開大を正しく認知して頂くことが長年の課題となっていた。しかし、専門学校や県外の大学等がTV-CMを放映するなど、地域に対して強力にPRするのに対して、沖縄能開大では大々的な広報活動は行えず、その為の広報費も十分ではなかった。学校案内やチラシ等は職員がデザインし、高校訪問や合同進学説明会で配布するなど、地道な広報活動に限定して取り組んできた。2. 沖縄職業能力開発大学校について

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る