2/2015
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図2 WEBブラウザ上のメニュー画面(例)-20-事業所には様々な職務が存在しているが,同じ職務であっても事業所によって作業の進め方や使用しているシステム・様式は異なる.これに対応するために職リハセンターで訓練したことを事業所内で応用させることは求められるが,可能な限り事業所内で行われている作業そのものを入所期間中に訓練できることが望ましい.今回の事例では実施できなかったので,事業所が遠隔地であることやセキュリティ上の問題点等を解決する工夫を検討していきたい.また,オペレーティングシステム・オフィス系ソフト・事業所独自のソフト等のバージョンアップがあるため,それでも対応できるように継続して支援していける体系作りも必要であると言える.前述したように中途で視覚障害になった場合には就業面や生活面で様々な支援が必要とされ,その支援については障害状況や職場環境により異なるため個別性の高い専門的なものとなる.対象者や事業主がどのような支援を受けられるのか,または受けるべきなのかといった情報を持っていないこともあるため,情報提供を行いつつ両者がどのようなニーズを持っているかを把握していくことは非常に重要な作業と言える.本事例においても職場復帰に至ったポイントとしては,職リハセンターと地域センター及び地域の支援機関が①職場復帰までのコーディネート,②訓練期間中の中間報告,③就業場所(職場復帰先)の訪問,④職場復帰後のフォローアップという4つの場面で緊密な連携を図り,それぞれのメリットを活かしながら対象者や事業主を支援していくことができたことにある.今後も事業主及び視覚障害者に対する有機的な支援連携が図れるように継続的な情報共有をしていくことが重要だと思われる.11. 今後の課題12. まとめ(2)事業所独自のソフトに対する技能支援事業所では独自に開発・使用しているソフトが存在することがある.そのような場合,職リハセンターで訓練が行えないため,職場復帰後に別途対応する必要がある.今回の事例では,作業内容が主にWEBブラウザを使用するものであり,①メールを選択できるが開けない,②特定のボタンやドロップダウンリストにフォーカスが当たらない,③エディットボックスに文字が入れられないという内容で,解決策を求める問い合わせがあった.職リハセンターにおいて,全く同じ環境を用意することは出来ないが,図2(実際に事業所で使用しているものとは異なる)のような操作画面を見ることで操作方法の推測は可能なため,操作画面をキャプチャした画像を送付していただき,それを基に操作に関する手順書を作成して事業所に提供したところ,問題の解決につなげることができた.10.2  地域センターによるフォローアップ事業所(本社)への中間報告等を踏まえ,職場復帰後の支援課題や支援頻度等について対象者及び事業所と打ち合わせた上で,職場復帰後からジョブコーチが事業所を訪問して対象者の状況確認等の支援を実施している.10.3  地域の支援機関によるフォローアップ対象者の障害は進行性であるため,将来的に通勤や生活面でのさらなる支援が必要となる場合が想定される.このため,状況に応じて必要な支援が得られるよう協力依頼を行った.

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