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<参考文献>介などが7名(18.4%)であった.センターでは独自に求人開拓の活動は行っていない.そのため,ハローワークや民間職業紹介会社との連携は不可欠である.今後も連携を密に行っていく必要があると考える.3.4  就職・復職時の定着支援の状況就労した38名に対し,いわゆる障害者枠での就労37名,一般枠での就労1名であった.就労期間別で見ると,24ヶ月以上の就労13名,12ヶ月以上の就労12名,6ヶ月以上の就労6名,6ヶ月未満7名である.このうち,就労後1年未満での離職者が3名いた.就労者38名の1年以上の定着率は94.7%であった.事務的業務希望者,およびマッサージ業務希望者の就労後の定着率が高いことの要因として次のことが考えられる.1点目として求人情報提供の段階から,企業側と利用者のスキルなどのミスマッチを起こさないように心がけ,その結果としてミスマッチが少なかったこと,2点目として面接試験に支援員が同席し,センターの支援態勢を直接企業担当者に話し,その後の顔が見える支援につなげたこと,3点目として利用者本人,または企業側の要望により,職場訪問を行い,問題や課題などに対して迅速に解決に取り組んだことなどが挙げられる.これらから就労移行支援に際してはきめ細やかで個人の特性を踏まえた支援と企業への理解と協力が得られるような支援の両者の支援が必要であると考えている.就労後の定着は,本人の努力,企業側の配慮は大切であるが,就労移行支援事業所の定着支援態勢も重要である.定着支援について障害者総合支援法には,「就職後における職場への定着のために必要な相談,その他の必要な支援を行う1)」と記されている.就労した38名に対し,障害福祉サービス受給者証の支給期間内で定着支援を認めている自治体が26か所(68.4%),認めない自治体が12か所(31.6%)で,自治体の対応のばらつきがある結果となった.センターでは,利用者や企業担当者からの依頼に応じ,受給者証の有無にかかわらず定着支援を実施-13-1)障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則第6条の9※1 東京都視覚障害者生活支援センター昭和58年開設,障害者総合支援法の障害福祉サービスとして自立訓練(機能訓練・視覚)と就労移行支援のサービスを提供している通所型事業所である.東京都から社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会が指定管理を受け運営.自立訓練(機能訓練・視覚)とは,主に中途で視覚障害になった方に対して,白い杖を使った単独歩行の訓練(歩行訓練),家事動作や調理などの訓練(日常生活動作訓練),点字の読み書きやパソコンの基礎操作,視覚障害者向け録音機器の操作訓練などを行っている.した.具体的には,画面読み上げソフトやキーボードによる操作方法について,職場訪問や電話,メールでの対応が主な内容であった.視覚障害者の雇用継続のためには,定着支援の内容や時期,方法などを含め,就労した利用者が安心して利用できるよう,就労支援の一環としてセンター,公的機関や所属企業など様々な職種が連携体制をとりながら,点から線,線から面へと繋ぐ役割を担っていく必要がある.視覚障害者の就労移行支援に対しては,事務的業務希望者,マッサージ業務希望者,在職者の利用ニーズがあることが明らかとなった.事務的職業希望者の就労率は5割強,マッサージ業務希望者は9割強,在職者の復職率は9割と就労移行支援事業所として一定の成果を上げているといえる.しかし,事務的業務希望者に対し,就労できない利用者がいたことから,一般企業への就労の適否を含め,評価を行う時期と内容についての検討が必要であると考える.さらに,定着支援に関しては,実施時期や頻度,対応項目などを検討していく必要がある.4. おわりに

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