2/2015
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<参考文献>たか,あるいはどんなやり方がやりやすかったかなどを確認していく.何か工夫をすることで,やりにくかったことがやりやすくなるのであれば,その方法も相談していく.可能ならば,実際に働く職場を想定して,現実的に職場で取り入れることができる工夫なのかも考えていく.こうしたプロセスを考えることで,働きづらいことが,「働きづらさ」で終わらず,自分に合った働き方を考えていくことにもつながっていくだろう.最後に,安心をして話ができる環境については,対人援助支援では基本的な相談の技術である.前述にあったアンケートにもあったように,特に発達障害のある人はコミュニケーションに対して苦手意識を持っている方が多い傾向にある.表現の言い回しやどこまで話をしていいのかを気にしながら話をしていると,なかなか自己理解まで進んでいかない.どんなことを言っても大丈夫だと安心ができれば,自己理解へその分の力を回すことができ,効果も高くなるだろう.以上が,支援で重視しているポイントである.発達障害のある人の支援をしていて感じることは,社会の仕組みが変わるだけで,障害になることもあれば,障害にならないこともあるということである.「障害者」として相談に来られると障害からその人を考えてしまいがちであるが,環境が柔軟に対応できれば,障害特性の影響で困ることが少なくなる.また,「障害者」であっても,子を持つ親であったり,労働者であったり,学校に通う学生であったり,誰もが多様な側面を持っている.その人がその人らしく豊かな人生を送っていくためには,障害特性から働き方を考えていくのではなく,その人が職業生活設計を作成する中で,障害特性をどう扱っていくかを考えていくことが重要である.そうしていくことで,「障害者」としてではなく,一人ひとりが多様な側面を持った人として,自分の人生を歩んでいるという実感が持ちやすくなるよう-9-・厚生労働省報道発表資料(平成27年3月)『改正障害者雇用促進法に基づく「障害者差別禁止指針」と「合理的配慮指針」を策定しました』・独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(平成24年3月発行)『障害者雇用マニュアル発達障害者と働く』・東京都福祉保健局(平成26年9月発行)『障害者雇用・就労推進連携プログラム2014』に感じている.3. 多様な側面をもった人として関わること

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