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浜松職業能力開発短期大学校 電子情報技術科浜松職業能力開発短期大学校 電子情報技術科浜松職業能力開発短期大学校 電子情報技術科株式会社ユー・エス・ピー 代表取締役社長アツミ特機株式会社 代表取締役社長-5-1.はじめに2.関連技術と課題  阪神・淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)など過去の大規模災害時において,被災者の情報を収集するのに相当の時間がかかり,特にアレルギー情報や要介護など救援ニーズを取りまとめるのは不可能1)に近かった。また,災害発生時は,電源を含めたインフラの喪失などによって,ICT(Information and Communication Technology)が十分に活用できないなどの問題があった。 本来ならICTの活用により迅速に被害状況や被災者情報を収集できるところが,実際は電力や通信等インフラが2日間以上止まり,発信できなかった。また,災害の備えという面より防災に力点が置かれ,災害発生後の長期間の避難所の生活におけるQoL(Quality of Life)まで十分考慮されていない状況であった2)。 そこで,本研究では,東日本大震災において発生した避難所における人的管理・資材管理の難しさや問題点を教訓とし,ICTを用いて,被災者の情報を収集し,救援ニーズを含む名簿等を迅速に作成・発信できる,インフラ断にも強いシステムの開発を目指すことにした。 本研究は㈱ユー・エス・ピー 代表取締役社長 天城氏,アツミ特機㈱ 代表取締役社長 山口氏との共同研究の成果報告である。 東日本大震災以来,企業,大学およびNPO団体において,ICTを用いた被災者支援システムの研究および開発が多く進められている。 類似する代表的な関連技術として,マイクロソフトが提供する「震災復興支援システム」3)や西宮市情報センターが無償提供する「被災者支援システム」4)などがあげられる。 これらのシステムには災害発生からインフラが復旧されない間はシステムを稼働できないという課題がある。また,従来技術では,避難所での避難者の数,避難者の男女の割合,安否情報等といった行政レベルで管理するおおまかな数字のみしか管理できず,避難所における詳細な救援ニーズ,すなわち,アレルギー疾患や難病の患者,障害者,介護を要する老人,妊婦等配慮の必要な方のニーズ情報まで拾い上げるシステムになっていないという課題が存在する。さらに,ほかの避難所から大勢の避難者を緊急で受け入れる場合でも,従来の技術では避難者の情報を入力する際,手入力処理のため,避難所運営側で受け入れた避難者を迅速に把握できないという課題があった。 したがって,本研究ではこれらの課題解決を実現するシステムの開発を行うことを目的とする。調査研究報告安部 惠一橋本 隆志西出 和広天城 康晴山口 高男(共同研究)ICTを用いた大規模災害時避難所支援システムのプロトタイプ開発の取り組みについて

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