1/2015
6/44

写真6 当社で初めて育児休暇を経て復帰した女性職人技能と技術 1/2015写真7 育児休暇後,復帰した女性職人-4-5.女性からの声で産休・育児休暇制度を作成6.女性が入ることで組織が活性化 もう一つ女性職人において大きな変化があったのは,出産・育児を経て現場に復帰する女性が出てきたということです。私は,女性職人は結婚したら仕事を辞めて家庭に入る,またはアルバイトなど時間的に区切られた仕事をするものだ,という固定概念を持っていました。過去の女性メンバーもそうだったので,そこに何も疑問を持ちませんでした。 しかし,平成17年に女性見習いから「結婚して子どもを生みます。でもまた,現場に復帰したい」という話がでて初めて,女性職人と結婚・出産・子育ての問題に気づきました。女性側から提案がなければ,そういう考えにも至らなかったと思います。 出産を控えた彼女と当時の社長(現相談役),私で相談をし,会社の産休や育児休暇の制度を作っていきました。会社が制度を押し付けるのではなく,当人とともに制度を作り上げることができたので,今ではもう一人,結婚・出産・育児を経て,現場に復帰した女性がいます。彼女たちはお腹が大きくなってきて,現場に出られなくなっても,見本の作成や安全書類の作成など協力的に働いてくれました。 育児休暇を含めると1年以上と,長期に休むことにはなりますが,会社としては自社の仕事を良く理解してくれる人が復帰してくれるので,とても助かります。また,彼女たちにとっても今までのキャリアを生かすことができ,今さらパートなどで働くよりも収入もあるので助かるとのことです。 建築業は朝が早いので,子どもを保育園に預けるのを旦那さんにお願いするなど,家族の大きな協力は必要になりますが,会社でママさん職人向けの制度を作って,定時で必ず帰れるようにしたり,土日などの決まった曜日を必ず休みにするようにし,そして,周りの職人の協力があれば,今後もママさん職人を増やしていけるのではないかと思っています。 女性スタッフへ仕事のやりがいを聞いてみたところ「広い現場が終わると,すごく達成感がある」「やったことのない仕事が次々とでてきて,大変だけど,飽きないし,常に新鮮さを感じている」という話がでました。 建築現場のものづくりのおもしろさ,左官の奥深さに興味を感じてくれていると思いました。 今現在の女性スタッフは,ハラダサカンレディースの活動のように派手な仕事ばかりをするわけではありませんが,今でも会社に新しい視点を与える存在になっています。男性ばかりの職場で,同じ思考の人が集まっても変化は生まれません。女性に限ることではありませんが,違う考えを持った人が入ってくることで新しい発想が生まれ,組織が変化していくと肌で感じています。 どこか閉ざされた世界という印象があった建築職人・左官の仕事に女性の視点が入ったことで,当社は新しい発展をしました。そのように新しい視点を持って建築の世界で活躍できる女性が増えてくると,業界も変わるのではないかと思っています。 私はこれからも新たな女性の活躍を期待しています。

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る