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5.1 新規訓練科の方向性5.2 物流の仕事5.新規訓練科の検討プロセス 以上の結果から,当センターの訓練内容と女性が活躍している仕事の内容とは,関連性が顕著であることが確認できた。よって,当センターの訓練内容は,今回の人材ニーズ調査結果とおおむね合致しており,定例のニーズ調査結果を踏まえた既存のものづくり分野の訓練コースが,女性向けとしても自信を持って推奨できることが検証できた。 しかしながら,女性が活躍している仕事の中で,当センターの訓練内容に含まれていないものは,「⑥原価・在庫管理」と「⑪電気・電子部品検査」であった。このうち,「⑥原価・在庫管理」は6番目と多いことから,新たな訓練内容として,<調査結果3>の物流を含めて検討する価値があると思料される。 一方,11番目の「⑪電気・電子部品検査」は,部品の種類ごとに特殊な検査機器や実装関連機器を用いること,企業間の格差,機密性,特異性が顕著な分野であることから,訓練は,企業の独自性が発揮できるOJT等で行う形態が望ましく,公的機関等が直接行う場合は,試作訓練課題等の検査に限られることから,なじみにくいと思料される。 今回のニーズ調査結果から,「全員参加の社会」の将来ビジョンを意識した女性の就労参加に向けた新規訓練科の開発は,次の3点に注目し検討している。⑴ 生産部門において,女性に求める専門的能力には,<調査結果3>から「品質管理,生産管理,物流(配達),在庫管理」のニーズが見られ,さらに,具体的な仕事の内容の累計結果には,表3の「②生産・品質管理」「③工程管理」「⑥原価・在庫管理」での活躍が期待されていることから,物流および在庫管理に特化して検討する。⑵ 基盤的な専門的能力として,生産管理システムを含むIT活用スキルが求められていることから,WMS(倉庫管理システム)の運用訓練を検討する。⑶ 強みである女性の特性の発揮に加え,受注管理や折衝・調整力が求められていることから,女性-31-の行動特性を仕事に発揮する意識啓発訓練の付加も検討する。 さらに,より詳細な人材ニーズを把握するため,物流部門を有する事業所,ハローワーク等への聞き取り調査を計画的に進めている。 10月1日には,カリキュラムの開発参考のため,近畿ブロック研修等連絡会議の「ものづくりICT作業部会」のメンバーがマテハン・物流機器製造企業への見学を行った。 ものづくり分野のどの工場にも,①必要なものを作る(生産)と②必要なところに届ける(物流)という活動や仕事は存在している。 東日本大震災時(平成23年3月11日)と同様,タイ大洪水時(平成23年8~12月)には,日系企業の多くが浸水被害を受け,生産・供給が停滞し,あらゆる業界のサプライチェーンが寸断し,大きな社会問題となった。 また,企業が生産性向上やコスト削減に向けた究極のジャスト・イン・タイムを実現するためには,物流や在庫管理を包含するSCM(サプライチェーン・マネジメント)の確立や人材確保が重要である。一般に,物流の仕事は,「製品の流れを管理する仕事」であり,受注した製品を顧客に納品するまでの工程(顧客から製品受注や製造工場への生産発注,在庫の確認,梱包,発送,顧客納品と流れる工程)で生じる仕事である。 具体的には,①物流作業,作業工程スケジュール,物流情報を組立てて管理する仕事。②物流作業工程の中で輸配送や倉庫での在庫確認や保管,流通加工,包装,荷役を行う仕事。③物流作業工程や製品納期に関わる人々の調整をする仕事。があり,これらの仕事に求められる職業能力は,表4のとおりである。調査研究報告

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