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の育成・質の確保において,『良質な職業訓練の実施や訓練受講者の就職の実現のためには,その担い手となる人材の育成・質の確保が重要であり,専門分野についての技能や知識,キャリア・コンサルティング等の就職支援技法,訓練カリキュラムの設定方法等を習得した訓練指導員の育成や,キャリア・コンサルティングについて専門的な知識・経験を有するキャリア・コンサルタントの育成が必要である。』としている。 今後,職業訓練機関等においては職業指導員が各自の訓練分野での業界の動向に注意を払いつつ,「多様な学生」に対応しながら,キャリア・コンサルティング(アセスメントツール等の運用のための知識も含む)のスキルを向上させていく必要があると思われる。 さらに最近では,キャリア・コンサルタントの能力の問題について産業競争力会議「雇用・人材分科会」中間整理において,『厚生労働省においてキャリア・コンサルティング技法の開発等を推進するとともに,自らの職業能力の棚卸しに基づき,キャリアアップ・キャリアチェンジを考える機会を多くの国民に提供するための方策として,まず,キャリア・コンサルタントの養成計画を平成26年年央までに策定し,確実に養成を図る。』とキャリア・コンサルティング体制整備が提言されている(平成26年6月現在 第3回キャリア・コンサルタント養成計画に係る専門検討会が実施された)。 すなわち,今後の方策としては,激変する社会情勢と学生の気質に対応するため,集団で実施するガイダンス等は実施する学校の状況に合わせた取り組みを検討し,個別には職業訓練指導員等がキャリア・コンサルティングのスキルを向上させながら,継ぎ目なく学生のキャリア発達に合わせたコンサルティングを実施していく必要があると思われる。 私も当初は,「職業訓練指導員は指導やコーチングが得意であるから,傾聴が必要なカウンセリング-7-を必要とするキャリア・コンサルタントとしては向かないのではないか」と考えていた。しかし,ここ数年間,さまざまなアセスメントツールやカウンセリング等を学ぶうちに,指導においても役だてることは多いということを体験することができた。 特に,2級キャリア・コンサルティング技能士の資格取得に挑戦し,2回不合格で平成24年にやっと合格することができた。この受検をとおして,なぜ不合格なのか,自分に足りないことは何なのかを自問自答する機会となった。不合格の原因は,今まで職業訓練指導員として指導することが多かったので,どうしても無意識に指示的な言葉遣いになってしまい,なかなか傾聴ができなかったことが一因であると痛感している。自分で気が付かないことに気が付く「気づき」を体験できたのは,資格を取得したことよりも価値がある体験であった。 学生においては,就職活動が進まないのは何かしら原因を抱えており,原因を「気づき」によって,うまく解決できることを,今までの就職指導において多く体験できた。今後も激変する社会情勢に対応しながら,自らのスキルを高めていくよう頑張りたいと思っている。そして間接的ではあるが,岩手県の若者たちが,岩手県の企業に就職し,若い力となることで復興に寄与することを願いたい。 この研究報告書を作成するに当たり,「キャリア・シミュレーション」や「若年者就職支援機関における就職困難者支援の実態」,独立行政法人 労働政策研究・研修機構 労働大学校 深町 珠由先生の資料を参考にさせていただききました。特にキャリア・シミュレーションについては「キャリアシミュレーションプログラムの開発」のレポート,「若年者就職支援機関における就職困難者支援の実態」の報告書をお送りいただき,とても参考になりました。ありがとうございました。 また,本校 産業デザイン科 多田 誠先生には2級キャリア・コンサルティング技能検定に向けて,傾聴の指導をしていただきました。ありがとうござい就職支援の取り組み19.おわりに10.謝辞

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