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4.実施時期と方法の検討 このような学校独自の取り組み・ガイダンス等に連携させるため,学生用ジョブ・カードを利用したキャリア・コンサルティング実施時期と方法の検討を行った。 一般に職業選択においては,学生は前述した6つのプロセスを経て,意思決定するが,特に基礎になるのが,「自己理解」と「仕事理解」のプロセスである。この2つのプロセスを経ていないと十分なキャリア発達過程を経ているとはいえず,意志決定することが困難になることが多い(図2に意思決定へのプロセスのイメージ図を示す)。いわゆる,学生が職業について方向性を決められない状態にある。 そこで就職活動が本格化する時期までには,進路・就職の方向性を決めることができるように,早期にガイダンス等を実施することの有効性は「早期キャリア・ガイダンスのすすめ」5)でも報告したとおりである。特に早期に学生個人の状態(どのプロセスにいるのか等)を把握するのは有効である。 また,筆者は「学生用ジョブ・カードの実施」6)において,現在の学生用ジョブ・カードの内容に確定する前から実施方法についての検討を行っており,キャリア・コンサルティングは3回位を段階的に実施する必要があると考えていた。そのため,最初の学生用ジョブ・カードを利用したキャリア・コンサルティング(以後,単にコンサルティングと記述する。)の実施は,できるだけ早期に実施し,学生の現在の状態をつかむことを目的とした。また2※「岩手就職ガイダンス」は外部機関(公益財団法人 いわてふるさと定住財団)の催しで,内容は就職活動を始める学生のための企業説明会である。回目,3回目の目的は表2に示すとおりである。 特に3回目のコンサルティングの実施は,翌年になって1月以降になっているが,この時期では実際に入社したい企業が未確定な状態の学生が多い(学生用ジョブ・カードのすべての項目を記述できるわけではない)。そのため,学生用のジョブ・カードの完成度は,入社したい企業が決まった場合に,エントリーシートや履歴書の作成時に十分な資料になる程度を目指した。 コンサルティングの実施において最も注意が必要となることは,学生の就職に対する準備(レディネス)は大丈夫であるかということである。すなわち,1回目,2回目のコンサルティング実施において,学生が図2に示すプロセスのどの段階まで進んでいるかを配慮することが重要である。 もしプロセスが意思決定の段階にないと判断したならば,その学生の状態に合わせた別のコンサルティングの実施が必要となる。また,各回のコンサルティングを実施する際には,学生の就職に対するモチベーションが下がらないよう配慮した。具体的には各回のコンサルティング実施導入時の指導案を作成し,就職活動に前向きに取り組めるような環境回数1回目7月下旬2回目10月下旬3回目1月下旬-3-連携インターンシップ工場見学就職ガイダンスYG性格検査岩手就職ガイダンス(企業面接会)就職支援の取り組み1図2 意思決定へのプロセス(イメージ図)表2 各回の主目的と連携時期主目的学生用ジョブ・カード作成指導学生の状態把握履歴シート①②の作成学生の自己理解の確認学校活動歴シート①②の作成パーソナリティ/キャリアシートの作成(資料としての)学生用ジョブ・カードの完成を目指す

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