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―技能五輪全国大会より― 「ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)が厚生労働省,文部科学省,経済産業省の連携で作成されている1)。この中で,以下のことが指摘されている。⑴高年齢技能者・生産年齢人口が減少し,技能の伝承・継承が十分に行われていないこと。⑵技能検定や,熟練技能者が若年技能者への実技指導を行う「ものづくりマイスター制度」を活用して,若年への技能伝承を支援することが重要であることが述べられている。 技能の伝承・継承については,2007年問題,すなわち団塊世代の引退が要因の1つであると指摘しており2),技能の伝承・継承は喫緊の課題となっている。一方,独立行政法人 労働政策研究・研修機構が「ものづくり現場の中核を担う技能者の育成の現状と課題に関する調査」3)を行っており,ものづくり産業はわが国の強みの1つであり,今後わが国が持続的に発展していくためには「ものづくり」産業において知識・技術を持った中核的技能者を育成していくことが必要不可欠であると指摘している。中核的技能者の確保・育成に向けた取り組みが喫緊の課題であると述べている。 ものづくりにおいては,人材育成及び技能継承が重要な継続テーマであり,中核的技能者となり得る若者の育成は重要な課題となっている。若者の育成は喫緊の課題となっている。若者を育成するためのツールとして,技能五輪全国大会が毎年開催されて技能と技術 3/2014いる。平成25年度は,第51回目の技能五輪全国大会が11月23日㈯~24日㈰の2日間,千葉市の幕張メッセをメインに開催された。 ところで,著者は,技能五輪全国大会を主催している中央職業能力開発協会に平成20年から平成21年までの2年間在籍し,技能競技大会関係業務に携わる技能振興部に所属していた。現在の所属は,独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 千葉職業能力開発促進センターである。第51回の技能五輪全国大会で自動車板金職種が当施設を会場として開催された。 そこで,本報告では,ものづくり教育・訓練に携わっている青年に技能競技大会に対して興味を抱いてもらい,そして参加していただき,これからの日本のものづくりを先導してくれることを期待して,第51回技能五輪全国大会の様子を中心に,技能競技大会について報告する。 技能五輪全国大会(以後,競技大会と称す)は,青年技能者の技能レベルの日本一を競う技能競技大会であり,その目的は,次代を担う青年技能者に努力目標を与えるとともに,大会開催地域の若年者に優れた技能を身近に触れる機会を提供するなど,技能の重要性,必要性をアピールし,技能尊重機運の醸成を図ることを目的としている3)。千葉職業訓練支援センター秦 啓祐-40-1.はじめに2.技能五輪全国大会の目的ものづくりの将来を担う青年の技能の集い

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