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ト」。とは言うものの,最適な加工条件を見つけるのは難しい。 本物と同じ大きさの鍔は,サミットに出席した子供たちに喜んでもらえたのではないかと考える。 図9は,平成20年度新潟県障害者技能競技大会の際にポリテクカレッジ新潟が製作して提供した金メダルである。本物のオリンピックメダルに負けない思いでデザインした。 受賞者には喜んでもらえたが,30個もの金メダル製作に協力してくれた教員には負担が大きかったかもしれない。加工時間は3軸のマシニングセンタで1個あたり数時間もかかった。高速切削加工であれば,もっと早い加工時間ですんだかもしれない。金メダルを製作して提供しようとの思いを,もっと多くの仲間と共有できれば知恵も出たものと反省している。ものづくりには仲間づくりが何よりも大切である。 ロボコンといえば,NHKロボコンが有名であるが,多足歩行ロボットによる格闘技として「かわさきロボット競技会」がある。今年で第20回目を迎えた大会には,大学生チームを中心に企業人チームなど233台の申し込みがあった。そのうち,予選を勝ち抜き決勝トーナメントに進めるのは36台という狭き門である。 ロボットの規格としては,歩行機構と攻撃できる腕を有し,大きさと重さが規定以内であることとなっている。試合はまるで大型昆虫による激しい闘いの様子を呈する。上位に進むロボットはいずれも-39-1)平塚剛一「ものづくりの魅力と感動を伝える」『実践教育ジャーナル』Vol.29,No.4,2013年12月完成度が高く,機能美も感じられる。 企業の設計チームが参加することもあって,ロボットの構造もさることながら,デザイン,加工精度,耐久性等において見ごたえのあるロボットが増えてきた。図10は,KHK歯車のチームが製作し,決勝トーナメントに進出したロボットである。東海ポリテクカレッジとポリテクカレッジ新潟も出場し,東海が決勝トーナメントに進んだ。 機能性だけでなく,デザイン性にも考慮したものづくりの魅力と取り組み例について紹介した。高性能な工作機械やソフトのおかげで,より複雑な加工も可能になってきた。しかし,たとえ高性能な機械を導入しても通常の業務をこなしている限り,機械の性能をフルに出し切ることはできない。また,それ以上の技術を獲得することもできない。カレッジにおいても同じである。各種コンテストや展示会等への出展は,通常では試すことのできない新しい加工技術への挑戦であるとともに,ものづくりの魅力と感動をアピールする絶好の機会である。各能開施設の健闘に期待する。 最後に,ドイツへ出発する直前であるにもかかわらず,快くインタビューに応じていただいた㈱大槇精機の大町亮介社長に深く感謝申し上げます。研究ノート図9 金メダル図10 KHK歯車工房「ハイボール」<参考文献>4.かわさきロボット競技会5.おわりに

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