3/2014
40/54

りである。 切削加工コンテストにはアカデミック部門もある。第1回ではポリテクカレッジ新潟が芸術賞を受賞,第2回では高度ポリテクセンター,第5,7回には大分県立工科短大,第8回には中国ポリテクカレッジがそれぞれ銅賞を受賞している。いずれもマシニングセンタや旋盤等による切削加工の力作である。図6は大分県立短大の5軸加工機による作品である。題材を工夫しながら毎回チャレンジを続ける姿勢は学生のヤル気を引き出していることであろう。また,学生募集にも効果が出たことと思う。 ポリテックカレッジをはじめ,能開施設には5軸加工機が配備されつつある。授業で使うだけでなくぜひ,学生と先生が一緒になって感動を与える作品づくりに挑戦してみてはいかがだろうか。美しい作品であれば興味を示す高校生は多いはずだ。 切削加工ドリームコンテストへの出展あるいは,全国の能開施設による「ものづくりコンテスト」を企画しても面白い。 ㈱アマダが主催する「優秀板金製品技能フェア」は,板金加工技術・技能の向上を図るため,1989年にアマダスクールが始めたコンクールである。図7は第21回(2008年)の技能フェアで金賞と労働大臣賞を受賞した㈱池田機工(長岡市)の作品「HOUSE」である。1枚のステンレス板から折り曲-38-げて加工している。製作担当者は美術大学を出た中途採用の社員で,板金加工は全く未経験であったが,腕を見込んで技能フェアに向けた作品づくりに挑戦させてみたとのことである。美大卒のセンスが生かされたようだ。 池田則正社長が掲げる基本理念は「他利自利」,すなわち「あなたが先に儲けてください。その後 私が儲けます。」である。その言葉に甘えて,以前,アルミ板のレーザー加工をお願いしたことがある。アルミはレーザーでは加工しにくいといわれているが,きれいな仕上がりで,しかも格安の値段で加工していただいた。 さらに図8の刀の鍔つばをイメージした軟鋼製の文鎮もレーザーで加工していただいた。刀の鍔は,2008年に新潟市で開かれたジュニア労働サミットに出席した8ヵ国の子供たちへのプレゼントとして製作したものである。図案としては新潟県の県鳥であるトキをデザインした。トキの特徴であるトサカの部分は細いため,熱が伝わり溶けやすい。しかし,実にシャープな仕上がりである。社長いわく「ドライヤーと同じように熱をかけすぎないことがポイン図6「ハンド」写真提供:栗林仁氏技能と技術 3/2014図7 ㈱池田機工の作品「HOUSE」図8「刀の鍔」をイメージした文鎮3.アマダ優秀板金製品技能フェア

元のページ  ../index.html#40

このブックを見る