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*前 岩手県立産業技術短期大学校 メカトロニクス技術科 近年,経済・社会環境や雇用情勢の変化,企業の若者に求める人材像の変化,フリーター,ニート,学卒未就職者の増加等により若者の雇用をめぐるさまざまな問題が顕在化している。このような問題に対応するため,厚生労働省では平成23年度「キャリア・コンサルティング研究会―大学等キャリア教育部会」において,大学等におけるキャリア教育の在り方等の検討が行われるとともに,第9次職業能力開発計画が掲げられ,職業訓練機関等においては,平成24年度からキャリア・コンサルティングを実施しながら学生用ジョブ・カードによる指導が取り入れられることとなった。 一方,社会変化と同様に学生の気質も変化している。急速な少子高齢化により,大学等の入学学生確保の競争が激しくなり,多くの大学等が学生の定員を確保するため,さまざまな気質を持つ学生を入学させることになった。その結果,例えば学力差が大きい学生や明確な入学理由を持たない学生等,「多様な学生」に対応することが必要となってきている(以後,このような学生を「多様な学生」と呼ぶこととする)。 本研究では,平成24年度から導入された学生用ジョブ・カードを利用したキャリア・コンサルティングを軸に効果的に「キャリア教育」と「職業教育」を実施するために,インターンシップや就職ガイダンス等学校独自の取り組みや地域ジョブカフェ等の若者の就職をサポートする外部機関との連携方法を考察し提案するものである。提案においては岩手県立産業技術短期大学校,メカトロニクス技術科の平成24年度入学生への実施例を紹介し,学生用ジョブ・カードを利用したキャリア・コンサルティング方法を提案し,その効果と今後のより良い方法を探求する。2.問題の把握 「多様な学生」に,集団で実施するガイダンス等をすべての学生に適合した内容にすることが,難しいことは容易に想像できる。しかしながら,一方で効率的な観点から,集団で実施したほうが優れている,もしくは集団でなければ実施できないワーク等がある。そこでガイダンス等の集団で実施する場面と個別でキャリア・コンサルティング等を実施して進路・就職指導する場面が必要であることは理解できるが,集団での実施に適合できない学生への対応が求められることになる。 このような適合できない「多様な学生」の原因の1つとして,キャリア発達過程において,十分に発達していないこと(もしくは就職活動の準備ができていないこと)が考えられる。そのような学生に,就職や今後の進路のことを話しても,理解してもらえる可能性は非常に低い(「若年者就職支援機関における就職困難者支援の実態」4)(2013)においては若年者の就職困難者について調査が行われている。この資料においては,就職活動の課題の特徴を就職支援の取り組み1岩手県工業技術センター 電子情報技術部赤堀 拓也*-1-1.はじめに  就職支援の取り組み1キャリア・コンサルティング方法の探求学生用ジョブ・カードを利用した

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