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 当校の就職支援の取り組みにおいては,多くの項目について計画的に支援を行っている。しかし,これらの項目を当事者である学生がしっかりと受け止め,就職活動で活用できるようにしなければならない。ほぼすべての学生は,就職活動そのものが初体験であるため,先行きが見通せないことによって不安を抱えたり,すべてを吸収し完璧にしようと,がんばりすぎる学生もいる。情報を詰め込むだけでは消化不良に陥るため,確実かつ,それぞれの学生に必要なことを気づかせるツールとして,就職ガイドブック(図6)を整備した。 就職ガイドブックそのものは珍しいものではなく,どの学校でも整備している。記載内容は,就職(進路決定)活動の流れや相談窓口,面接試験や履歴書作成のポイントなどである。近頃では,企業説明会等に持ち込み,メモやスケジュールを書き込める工夫がなされているものも多い。 当校の就職ガイドブックも同様の機能を持たせているが,最大の特徴は授業科目である「職業社会論」及び「キャリア形成論」の教材として利用できることである。とくに1年生次の「職業社会論」では,今の自分を見つめる自己分析や在籍する科に関連する企業を探る企業分析も行っている。今までは漠然と考えて過ごしてきた学生も,将来を見据えるうえでは欠かせない内容である。漠然とした内容も含-25-め,ガイドブックに自分の考えや気持ちを記載しながら,就職に向けての意識づけをしている。 先に,就職意識向上の各段階を示したが,ガイドブックの中身もこの段階に連動している。各種講話についても,実施する目的が示されており,終了後にどのように感じたか等を記載できるようにしてある。自らが書き込み,オリジナルのガイドブックを完成させることで,就職活動のみならず将来のキャリア形成の一助になればという想いから完成した就職支援ツールである。 1年生の後半からは本格的な就職活動がスタートする。当校の所在地である大館市は,秋田県内でも最北端に位置しており,秋田市で開催される合同企業説明会に参加することも容易ではない。そのため,説明会の開催日程に合わせてバスを手配し,一斉に参加している。地方都市の学生にとって対外的な刺激は重要で,自分の動き方と他大学の学生との違いを肌で感じる機会でもある。 合同説明会のほか,個別の企業説明会も実施している。主にはOBが活躍している企業であるが,各科それぞれに関連する企業から,採用担当者,OBが来校し,学生に企業説明を行っている。実施時期は3月から6月にかけてが多く,1年生も参加できることから今後の就職活動への意識づけにもなっている。2年生はそのまま面接へと流れるケースも多く,最終的に内定につながる確率も高い。 いずれにせよ,自己分析から企業研究をしっかり行い,就職に向けた基礎を構築することに重点を置いて支援している。 就職試験にはSPIやCAB・GAB,一般常識,適性検査,作文等々がある。筆記試験対策は一朝一夕にできるものではなく,継続的な学習や練習が求められる。しかし,その種類の多さから,すべてのタイプの試験に対応できるように準備することは現実的ではない。しかも,企業によって用いる試験が異なるため,早くから志望企業を決めているケースを除き,効果的な対策は難しい。就職支援の取り組み4図6 就職ガイドブック5.自己分析と企業研究6.筆記試験対策

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