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④ 就活力 「結果としての就職」を実現する前提となる「就活力」を養成する科目である。求人情報の見方や履歴書の書き方など,基礎的な知識や書類作成指導が中心となる。しかし,書類だけでは面接までたどり着けないケースも多く,いかに「人柄」を求人先に理解してもらうか等のために,ボランティアへの参加などを促す実施機関もある。⑤ 態度形成 職業人としてのビジネスマナーである基本動作の習得である。これは自然な所作となるように態度化,習慣化しなければならない。基礎講習での座学のみでなく,訓練期間全体を通じての習慣化が前提となることから,実施機関ごとにルールを設定してその徹底を図っている。また,介護分野のように業種特有の態度形成が必要となる場合があり,訓練中に出たごみは各自自宅まで持ち帰らせるなどの徹底によって,介護職員として不可欠な態度形成を行っている。⑥ 仕事理解 業界事情や職種の種類,具体的仕事内容,求められるスキル等の理解を促進する内容である。これは,職業訓練の申し込みに当たって,その分野に漠然としたイメージを持って受講を希望する求職者が多いことから,訓練開始の早い時期に理解を徹底しておく必要があり,重視されている。4.3 運用⑦ 他科目との連動 基礎講習単独では,内容をより深く理解させることに限界がある。現実的には基礎講習以外のカリキュラムとの連動が不可欠となる。具体的には「職業人講話」「職場見学」「専門カリキュラム」との連動である。 特に「職業人講話」や「職場見学」は,実際の企業で求められる人材の条件やスキルの水準などをより理解させやすく,その後の専門カリキュラムへつなげるのに効果的である。また,ある程度専門知識デスの職人」など,多面的な演習を実施しているケースもみられる。-19-を習得した段階でビジネスマナーや仕事理解の科目を配置するなど,カリキュラムの配置面での工夫もみられる。⑧ スタッフ連携 上記のように,基礎講習単独ではなかなか効果的な職業訓練とならない。それぞれの科目を連動させ,さらには受講生1人ひとりを理解し,適切な援助を行うためには,受講生個人の情報の共有がポイントとなる。 その情報共有の結節点となるのが,事務担当者といえよう。事務担当者は専門カリキュラム講師,基礎講習講師,就職支援担当者および運営責任者をつなげる重要な役割を担っている。それを補強するために講師に「デイリーレポート」を作成させ,それを次の講師に引き継ぐことで,授業の進捗状況等を共有できる仕組みを作っているケースもある。 さらには基礎講習講師に限らず,講師全員の評価を受講生アンケートによって把握するため,不満の早期発見の仕組みを徹底している機関もある。⑨ 指導方法 基礎講習の指導方法に関するポイントとして,上から目線にならない,講師の自己開示,前職の経験談など,受講生との関係が適切な距離感となるように工夫している。⑩ その他運用の工夫 基礎講習全般の運用で,重視しているポイントは以下のとおりである。 A:配置・時間割  実施機関によっては,1日5~6時間を基礎講習だけで実施するのは,講師と受講生ともに集中力が維持できないとの考えから,出席率を上げるために,欠席しにくい状態,つまり1日を専門カリキュラムと組み合わせて実施するなど,時間配分に工夫をしている。一方,外部講師起用の場合は,半日単位の依頼は難しいなどの声も挙がっていた。  また,基礎講習内容をクラスの年齢層や一体感醸成状況をみながら,集まった受講生によって内容を柔軟に変えているケースもある。就職支援の取り組み3

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