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書,模擬面接など「就職支援」の内容を組み入れているタイプである。 基礎講習の基になるテキストは,以下の3つのタイプに分類できる。 ① 「指導書」の一部をそのまま利用 ② 「指導書」を自校に合わせてカスタマイズ ③ オリジナルテキスト 今回のヒアリング対象実施機関の多くは,「指導書(旧能力開発研究センター編集)」を参考にしてテキストを作成している。これは求職者支援訓練スタート時点では,基礎講習をどう進めたらよいのか分からない実施機関が多く,当初は「指導書」が唯一の拠り所であったことに起因していると思われる。現在では内容の古さや分かりにくさという不満は一部にあるものの,「指導書」を一部活用しながら各実施機関の試行錯誤を通じて自校なりのテキストと内容を構築しつつある。4.職業能力基礎講習で重視するポイント 基礎講習の効果を上げるために,各実施機関はどのような工夫をしているのだろうか。講習で重視しているポイントは,図2に示したとおり10のポイントに整理できる。-18- これらのポイントは,基礎講習を効果的ならしめるKFS(KeyFactorforSuccess)といえる。4.1 導入時① 意義理解 基礎講習は,自己開示やグループワークが中心となることから,受講の意味を感じていなかったり,抵抗感を持つ受講生が多い。よってなぜ実施するのか,どんな意味があるのか,どのくらい重要であるのかの意義理解を開講当初に徹底しておかないと,基礎講習に限って欠席するという事態を招くことになりかねない。② 一体感醸成 これは基礎講習にとどまらず,クラス運営を適切に行うために重要な要素でもある。特に基礎講習においては,講師への信頼感に加え,受講生同士の信頼感や親近感が,講習を運営していく上で重要となることは言うまでもない。 そのために「アイスブレイク」「グループワーク」「スピーチ」などの方法によって,自己理解や他者理解を通じて一体感を醸成する工夫をしている。4.2 講習内容③ コミュニケーション能力 どの実施機関にも共通する科目がコミュニケーション能力であるが,その内容が異なる領域でもある。 A:聴く・話す力  指導書の「コミュニケーションの基本」の「3つのきき方」「5つのきく態度」「アサーション」にあるように,きき方と話し方というコミュニケーションの基本を内容とする実施機関が多い。 B:職種特有コミュニケーション能力  上記に加え,カリキュラムの項で述べたように,職種特有のコミュニケーション能力を重視する内容である。具体的には,プレゼンテーション能力やロジカルシンキングであり,介護ではストレス耐性を高めるスキル等となる。また,プレゼンテーション能力習得のために「エレベータピッチ」「USP作成」「オレンジをめぐる交渉」「アン3.3 職業能力基礎講習のテキスト図2 基礎講習重視ポイント技能と技術 3/2014

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