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感ある職業意識や仕事理解の授業が可能となることが考えられる。デメリットは,講師自身にキャリア支援やファシリテーションスキルが不足している場合,外部講師と比較して,基礎講習への不満が多くなりがちになることである。② 外部講師 外部講師の経歴は,精神保健福祉士,キャリアカウンセラー,ビジネスマナー講師,産業カウンセラー,能力開発インストラクター等,複数の資格と職務経歴をもつ講師が担当している。また,一部には演劇演出家等がコミュニケーションの領域を担当するケースも見られた。ただし,外部講師任せの体制では,基礎講習受講への抵抗感や不満の増加原因になる場合もある。 今回のヒアリング調査では,外部講師に直接話を聞く機会があったが,ある講師は以下のようにハローワークを単なる求人票探索の一媒体としてとらえるだけにとどまらず,その戦略的活用を基礎講習の科目内容としていたことは一考に値する。 基礎講習の講師で,この点を明確に伝達できる人は少ないと思われる。キャリアコンサルタント等就職支援担当者も,ハローワークの機能を十分に知っておく必要があるだろう。 さらには,基礎講習講師や就職支援担当者のみならず,実施機関の事務担当者,運営責任者等に対して,ハローワークの機能と活用方法の知識を習得する機会を提供することも,今後検討すべき課題と考える。※領域と科目内容については,実際に行われていた内容に基づく記載のため,本来の分類とは異なる場合がある。② 窓口相談員の利用の仕方:「自分でしっかり見て,不明な点を窓口の相談員に相談すること。ただ,紹介状をもらうだけではもったいない」と伝え,ハローワーク全体が協力者であることに気づいていただく。③ 「求人部門のスタッフが法律に則り募集していて,日本全国の求人がある。東京地区の場合,毎月10万件前後の新規求人があり,毎日更新されている。その中には必ず応募できる/採用に至る企業がある」と言い切り,安心感を与える。④ 職業訓練窓口だけでなく,マザーズ/ヤング/キャリアアップ・ハローワークや専門援助部門,早期就労支援部門など多くの機能を持ち,雇用安定に寄与している事実を伝えることも求職者支援訓練の大きな使命の1つと思っている。表2 職業能力基礎講習カリキュラム分類-16-ある外部講師の発言 職業能力基礎講習の「職業意識(仕事の探し方)」の講座の目的は「応募先企業の選択にハローワークが最も安心」と理解してもらうことにあると考えている。① 求人票の見方:ほとんどの人はハローワークを利用していながら,求人票の見方をよく知らない。  そのために,給料や交通費,住所など,本人が見たい箇所のみで応募を決めている。「A4一枚にこんなに情報が詰まっている。だから丁寧に見て,自分が応募すべきかどうかをしっかり判断すること」と言い切るようにしている。技能と技術 3/20143.1 職業能力基礎講習のカリキュラム分類と科目内容⑴ 自己理解  アイスブレイクやグループワークを通じて自己開示や自己分析,自己理解を促進するための科目群である。具体的内容としては,「自分の強み・弱み探索シート」を活用したセルフワークやグループワーク,「ジョハリの窓」や「守護霊を活用した自己開示」「ライフバイオリズムチャートシート」による振り返り,「人生グラフ」による体験交換,「いいとこ探し」などの演習で自己理解を促進していた。これらは間接的に履歴書作成へとつながる橋渡しとなって3.職業能力基礎講習のカリキュラム 基礎講習の科目内容は表2のとおり,大きく3つの領域で実施していた。

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