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 広島商工会議所では,平成20年6月より日本商工会議所より業務委託を受けて,「ジョブ・カード制度推進事業」をスタートし,平成24年度で5年目を迎えた。 この間,全国112ヵ所の地域ジョブ・カード(サポート)センターの設置商工会議所では,採用意欲のある中小企業での人材育成・確保に向けた取り組みを支援するために,ジョブ・カード普及サポーター企業を開拓し,そのうち,雇用型訓練(有期実習型訓練,実践型人材養成システム,若者チャレンジ訓練)の実施を希望する企業に対しては,訓練実施計画書や評価シート,申請書類の作成,助成金や奨励金の支給申請に当たってのアドバイスなどを行ってきた。 こうした活動により,ジョブ・カード制度推進事業がスタートした平成20年度からの累計では,ジョブ・カード普及サポーター企業数は54,017社(広島県1,310社)となり,このうち雇用型訓練を終了した企業1)は12,317社,訓練修了者22,035人の77%(広島県74.5%)に相当する16,968人(広島県223人)が正社員として採用された。このため,雇用型訓練を実施した企業ならびに,正社員として採用された元訓練生からも高く評価されており,この事業は,非正規労働者の正規雇用化の促進に大きく貢献しているといえる。 本稿および次稿において,この雇用型訓練の「有-9-期実習型訓練」に取り組んだ企業の潜在的な悩みや課題を明らかにし,併せてジョブ・カードを活用したキャリア形成支援による課題解決のプロセスとその成果・効果に関する実践事例を報告する。 これまでの取り組みで把握した企業の悩みや課題は次のような点である。(悩み)① 採用に関する悩み 良い人材を採用しようと思い,実際に採用したが,思ったような活躍をしてもらえない(ミスマッチ)。何が問題なのか見当が付かない。改善点や対応策も思い付かない。② 正社員化に向けた悩み パート・アルバイト等の者から,正社員としてふさわしい者を登用し,責任ある仕事をしてもらいたいが,従業員から納得が得られ,かつ適切と思われる登用方法が思い付かない。③ 教育訓練や仕事の評価方法の悩み 社内の教育訓練や仕事の評価の仕方がわからず,人材育成の成果がみえず,社内の理解が得られない。また,人材育成のコストも気掛かりであり,コスト低減の方策が見つからない。 以上の3つの悩みを,ジョブ・カード制度を活用したキャリア形成支援に取り組む過程の中で,企業ごとに少し異なる悩みを次の課題に整理して,対応就職支援の取り組み2広島商工会議所今村 榮一1.はじめに2.企業の人材育成・確保に向けた課題とは  就職支援の取り組み2活用した会社と社員の活性化① ―キャリア形成支援に関する取り組み―目からウロコ! 新たな人材育成の仕組みを

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