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1.はじめに 近年,製造方式の高度化・多様化はとどまるところを知らない。高付加価値製品を短納期かつ低コストで製造するのに,より高度な加工技術が求められている。例えば,精密機械部品に見られるような形状が複雑化したものの加工には,最新のCAD/CAMシステムと高機能なNC工作機械の活用が不可欠である。しかしながら一方では,これらを日常的に自由に操作できる人材不足に悩まされているのも事実である。  全国9職業能力開発大学校(付属校含む)の専門課程生産技術科では『ものづくりの原点である基本的な加工技術に加え,最新の加工システム技術にも柔軟に対応できる,技能と技術を兼ね備えた実践技術者の育成』を教育訓練目標に掲げ,訓練を展開している。 本科では機械設計・機械加工・精密測定を3本の柱としてカリキュラムを編成している。このなかで,平成23年度より「機械設計製図(4単位)」の内容を機械要素の作図からボールねじ駆動一軸テーブル(以下,「駆動テーブル」という)の設計製図に切り換えた。そして,平成24年度より「CAD実習Ⅲ(2単位)」と「CAD/CAM実習Ⅱ(2単位)」を廃止し,「総合制作実習」に組み込んでいた「機械製作実習(4単位)」を単独科目として通常の訓練として実施した。なお,廃止した科目の4単位は 「総合制作実習」に充当し,実質的に「総合制作実習」の変更はない。 新設した「機械製作実習」は学生4~5名でグループを編成し,「機械設計製図」の課題である駆動テーブルを製作する。『設計,各種加工,測定,制御に関する知識・技能を複合させた課題を製作し,これまで習得した技術・技能の定着を図る。さらに,実践的かつ総合的なものづくり力や問題解決力を身につける』を科目の目標に設定した。訓練内容は精密機械に該当する駆動テーブルの部品加工とその測定,加工部品と 購入部品と組み立て,組立完成品の検査とし,設計,加工,および,測定を強く関連づけている。 廃止した「CAD実習Ⅲ」の内容は3次元CAD/CAEによる強度剛性解析を中心とする各種シミュレーションであり,「CAD/CAM実習Ⅱ」はCAD/CAMシステムを活用したマシニングセンタ加工技術である。2科目とも機械系技術者にとって大切な科目であるが,標準カリキュラムの制限や修了学生北陸職業能力開発大学校 生産技術科北陸職業能力開発大学校 生産技術科北陸職業能力開発大学校 生産技術科-27-測定・検査指示書モータコントローラ製作図面集図1 テーブルと教材一式PIC装置テーブル実践報告国谷 滋兵藤 守石川 豊-設計・加工・測定の一体化訓練を目指して-機械製作実習の指導内容

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