2/2014
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1.はじめに 障害者の雇用は,2013年4月から法定雇用率が2.0%になり,さらなる雇用の増加が期待されるところである。しかし,視覚障害者の雇用は,その多くがあん摩マッサージ指圧師・鍼師・灸師の専門的技術を活かしたヘルスキーパー等のマッサージ関連業務であり,事務的職業に関する雇用は,依然厳しい状況が続いている1)。 視覚障害者の就労支援に関する先行研究では,復職や新たに就労する経過,および技術習得のプログラムに関する報告はある2),3)。さらなる視覚障害者の就労や雇用の定着化をはかるためには,個人に適した職場生活のQOLを高めるためのキャリア開発を目指すことは必須である。そこでわれわれは,就労している視覚障害者を対象に,職場生活の状況や課題の把握,さらに視覚障害者が就労する際,どのような技術や心構えが必要なのかを明らかにすることを目的として調査を行った。現在就労している視覚障害者の職場生活の状況を把握することは,今後の就労支援のプログラムを検討するうえの意義は大きい。 視覚障害者の機能訓練施設(以下,生活リハ)で1年程度訓練を受けた後,職業訓練施設(以下,職業リハ)などに進み,パソコン技術,またはマッ-9-サージ技術を習得して一般企業などで就労している中途視覚障害者15名。 調査内容は,先行研究2),3),4),および調査者らの実践経験を併せ,①パソコンの使用状況,②職場生活での困難場面と支援,③就職・復職に役だった訓練とその後の研修,④職場生活を円滑に送る工夫,⑤家庭生活での困難場面と支援,⑥就労希望者へのアドバイスなどを調査項目として作成した。 調査方法は,対象者にメールで調査項目を送付した後,面接による聞き取り調査を実施した。調査は,2009年7~8月にかけて実施した。分析方法は,調査項目のうち自由記述については質的記述分析を行った。 対象者へのプライバシーの配慮から,個人を特定する表現は避け,データは研究以外には用いないことを対象者に伝え,了解を得たうえで聞き取り調査を行うなどの倫理的配慮を行った。3.結果と考察 対象者総数は15名,性別は男性10名(66.7%),女性5名(33.3%),平均年齢は45歳,勤務地は全員が東京都内,居住地は1名を除き東京都内であった。 障害の程度については,身体障害者手帳の障害程障害者に対する職業訓練2東京都視覚障害者生活支援センター 就労支援課石川 充英2.1 研究対象者2.2 研究方法2.3 倫理的配慮3.1 対象者の概要2.研究方法  障害者に対する職業訓練2一般企業に就職した視覚障害者の就職後の状況調査について

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