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●比較的規模の大きいプロジェクト  他大学や学部教育の中で取り入れられるPBLと比較して,週当たりの学修時間を18時間以上確保し,1年間の大きなプロジェクトを管理し実践するプログラムである。●産業技術分野のプロジェクト 専門職大学院としては国内で数少ないIT分野,イノベーションデザイン分野に特化したプロジェクトである。●産業界の声を取り入れたテーマ設定 産業界等の有識者を構成員とする「PBL検討部会」を設けてテーマを設定している。●PBL支援システムの導入 学生がプロジェクト管理,共有情報管理等を容易に行える環境を整備している。● きめ細やかな指導と客観的基準に基づく成績評●表現力(要求定義力・提案力・可視化力)● 設計力(機能デザイン力,感性デザイン力,機能● 開発力(開発準備力・実装力・テスト・問題解決● 分析力(データ解析力・ユーザビリティ評価力・ そこで,高度専門職業人を養成することを当初から目的とした大学院教育が必要とされたのであり,そこでは,業務遂行能力を獲得できる教育プログラムが必須となる。 例として,次のようなコンピテンシーの獲得をAIITの教育目標にし,学位プログラムが設計されている。本研究科は情報システム学修士(専門職)と創造技術修士(専門職)の2つの専門職学位が取得できる二専攻で構成されている。3つのメタコンピテンシー(研究科共通)●コミュニケーション能力●継続的学習と研究の能力●チーム活動コアコンピテンシー(情報アーキテクチャ専攻)●革新的概念,アイデアの発想力●社会的視点およびマーケット的視点●ニーズ分析力●モデリングとシステム提案●マネジメント能力●ネゴシエーション力●ドキュメンテーション力コアコンピテンシー(創造技術専攻)● 発想力(企画アイデア力・実現アイデア力・独創力)と感性の統合力)力)マーケットリサーチ力) コンピテンシーを獲得することを目的としたPBL型教育の先例として,AIITではオランダのアイントホーフェン工科大学の事例を参考にした。アイン-23-トホーフェン工科大学では,10年ほど前に機械系とデザイン系を融合した新学科が設立された。そこでは,徹底して講義を排除し,カリキュラムがPBL型演習だけで構成されている。この大学を調査した結果,学生は目的意識を持った高いモティベーションを維持して学業を進めていた。基礎から応用というオーソドックスな教育プログラムではなく,問題を皆で考え問題領域の知見を獲得しながらチームでプロジェクトを遂行することを通じて必要なコンピテンシーを獲得しているのである。 2日間の現地調査の最後で最終学年の学生が話した言葉が印象的であった。彼は,ギムナジウム(ラテン語教育などを含む教養学校)を卒業後アイントホーフェン工科大学に入学した学生であった。彼の言葉では『PBLを実践してきたことで,社会に出ることに何の不安もない。他者とコミュニケーションし,必要に応じて知識・スキルを獲得しながら,プロジェクトを遂行する自信が身に付いた。』とのことであった。 この調査の後,AIITの学位プログムの設計に着手し,専門職大学院にふさわしいPBL型教育を導入したのである。その特徴をまとめると,次のようになる。訓練科,訓練コースの運営における取り組み33.コンピテンシー獲得のためのPBL型教育

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