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2.少数歯歯車の形状3.汎用フライス盤による少数歯歯車の製作から形状的にはあまり複雑ではないので,ターニングセンターや5軸のマシニングセンタの訓練課題としてもよい課題である。何より形状が面白いためものづくりの面白さを伝え,訓練の動機づけに最適な教材になり得ると思われる。 そこで,今回,「少数歯インボリュートはすば歯車製作の今昔」と題して,成瀬先生のもと当時作られた少数歯インボリュートはすば歯車の製作方法と筆者らが行ったターニングセンターによる製作方法,および5軸のマシニングセンタによる製作法について紹介したいと思う。 少数歯インボリュート歯車をホブ盤やギヤシェーパを用いて創成法により製作する場合,歯先のとがりやアンダーカットなどに問題があるため,標準平歯車で工具圧力角20度の場合17枚が限界となる。さらに,転移歯車にすると7枚まで製作することができる。そのため,6枚以下のインボリュート歯車を製作するには,エンドミルによる創成法による加工やワイヤーカットなどによる別な方法をとる必要がある。 また,平歯車はかみ合い率が1より小さくなる-32-と,回転を伝達することができなくなるため,少数標準歯車ではかみ合い率が1を切るため,はすば歯車にしてかみ合率を1以上にする必要がある。さらにはすば歯車の歯筋はスパイラル曲線となるため,曲面切削ができる加工法が求められる。したがって,少数歯歯車には,インボリュートのはすば歯車が用いられ,エンドミルによる創成加工法がこれまで多く行われてきた。最近では,3次元CADを用いて光造形で作られているものも見かける。 なお,これまでに製作された少数はすば歯歯車は,理論的な検証の意味合いはあるものの加工時間が長く,かみ合い圧力角が50〜70度程度あり伝達効率が非常に悪く,また,ねじれ角が大きいため軸方向の軸力が発生し,これまであまり実用としてはほとんど使用されていない。今後,新たな使用用途が見いだされることが期待される。 成瀬先生のもとで行われた汎用フライス盤よる少数歯歯車の製作では,はすば形状に加工することが求められるため,ドリルなどのねじれ溝の加工に用いられるスパイラル加工が適用された。図3に当時の歯車加工の様子を再現したものを示す。図のよう図3 フライス盤による少数歯歯車の加工(現存の装置で再現したもの)技能と技術 4/2013

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