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 長穴が発生し始める7番目の穴が,どうなっているのか見るために,測定顕微鏡(×75)を使用して分析した(図27)。   上面図       断面図A-A 分析から以下のことが判明した。⑴ 設備停止時の長穴は1.5mmの穴が2つ存在していた。⑵ 切り口形状のせん断面から,同一方向から二度穿孔されている。 これらの結果から,1.5mmの穴がずれた状態で二度穿孔されることで長穴のようになることがわかった。また,ズレの値を数値化するために穴の中心を可視化する必要がある。そのため,万能投影機で測定した寸法をもとに図28のように3次元CAD(Solid Works)を用いてデータ化することで穴の中心のズレの値を出した。その他の穴も寸法測定を行い不良発生時の原反を再現した。 データ化されたモデルから得た結果を以下に示す。-14-⑴ 左から7番目の穴から17番目までの穴は同じように2つの穴が発生していた。⑵ 左から1番目から17番目までの片方の穴は4mmの間隔で原反の端と平行に直線で配置されているのに対し,7個目から23個目まで発生しているもう1つの穴は0.26°右下がりの直線となっていて4mm間隔で配置されていた。 これにより,17個の穴が4mm間隔の直線で穿孔される工程において,穴ズレの原因が生じていることがわかった。これをもとに設備停止までの工程の中から発生箇所の絞り込みを行った。④相手の特定 考えられる工程として,エンボス成形用穴開け治具による穴開け加工がある。エンボスキャリア成型機にセットするために,原反には23個のパイロットホールが必要となる(図29)。 そのため,エンボス成型用穴あけ治具によって23個の穴を開ける作業が必要となる。しかし,この治具では一度に17個しか穴が開けられないため,図30に示すように6個分の穴を左方向にずらし,もう一度パンチすることで23個の穴を開けている。図26 設備停止時のエンボスキャリアテープ図27 測定顕微鏡での分析図28 現物のデータ化技能と技術 4/2013図29 原反のセットと穴開け治具図30 穴あけ治具による作業

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