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1.はじめに2.パラレルカムの構造岐阜職業訓練支援センター幾瀬 康史-39- 工場の組み立てや製造ラインでは,製品や部品をつかんだり,移動したり,置いたりする作業は,頻繁に行われる。それに伴って製品を一時的に止める必要があることが多く,間欠機構やストッパーなどが用いられることが多い。一般に機械的な間欠機構として,いろんな機構が考案されているが,平面的な形状をし,比較的製作が容易な機構として,ゼネバ機構とパラレルインデックスカム(以下,パラレルカムと呼ぶ)がある。 ゼネバ機構は,機構学や自動化機器の設計などの書籍で多く取り上げられ,その設計法は比較的簡単でよく知られている。図1にゼネバ機構の構造を示す。セネバ機構は,ゼネバ歯車とピン歯車で構成される。ゼネバ歯車は,一般的に等角度に配置されたn本の放射線状の溝で構成され,その溝でピン歯車のピンとかみ合う。ピン歯車のピンは,1本または2本取り付けられていることが一般的である。ゼネバ機構はピン歯車を等速で一方向に回転すると、ゼネバ歯車に滑らかに間欠運動が発生する。しかし,この機構はバッククラッシがあるため,正確な位置決めが難しい。さらに,途中で停止したり逆方向に回したりすると,干渉して止まる場合もある。 一方,パラレルカムは,バッククラッシが少なく,割り出しが確実なところから自動化機器の回転テーブルやコンベアなどの割り出しや位置決めなどに用いられる。パラレルカムは2枚の平面カムを用いて,等速回転運動を間欠運動に変換するカムである。このカムは,加工が容易なことから,生産コスト,精度面からも優れている。しかし,カム形状を設計することが難しく,パラレルカムは,ゼネバ機構に比べ一般的ではなく設計事例も少ない。しかし,最近CAD/CAMシステムの進歩でパラレルカムの形状も容易に設計できるようになってきている。 そこで,「間欠機構パラレルカムの製作」と題して、その製作事例についてご紹介する。事例では,数学的な方法と3D-CAD/CAMを用いた方法について示す。 図2に駆動軸1回転で従動軸が180度の間欠回転運動するパラレルカムを示す。駆動軸側には,間欠運動を発生する2枚の同形状の平面カムが平行に手実践報告図1 ゼネバ機構「おもしろ機構」工作室Ⅱ−間欠機構パラレルカムの製作−

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