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1.はじめに2.職業訓練の指導理論2.1 職業訓練における指導の基礎理論の確認2.2 Kerkpatrickによる評価方法元職業能力開発総合大学校福良 博史-28- 一般の大学3,4年生に当たる,当校応用課程「生産情報システム技術科」(定員20名)の1,2年生(以下,わかりやすく3,4年生と記す)に対して実践していた指導方法の中から,「見える化」という観点の事例として,3年生の標準課題および4年生の卒研準備としての開発課題Ⅰの2点について考察する。 標準課題は,グループによる課題解決型の実習である。5人前後で1グループを形成し,1クラス4グループとし,グループごとにリーダ,渉外担当などの役割を自主的に決める。そして,教官が,ITについてよくわからないユーザ役となり,ソフトウェア・システムの要求仕様を提示し発注する。グループごとに,ソフトウェア・ベンダーとして計画を立て,設計から実装までのモノづくりを実践する。プロジェクトチームを形成し,グループ間で競い合うようになっている。標準課題の具体的な内容は,webアプリの設計から実装(HTML・CSS,Java,SQL,簡易webサーバ・クライアントの試作,UMLによる設計方法論等の基礎を習得後,先述のプロジェクトによる実装)である。 開発課題Ⅰは,機械系,電子系および情報系の3科の学生数人単位で組をつくり,ファクトリー・オートメーション(FA)的な機構と電子制御および情報監視・制御を行う「ハノイの塔」の自動制御システムを制作する。グループごとに独自の役割分技能と技術 1/2013担・設計・計画・部材の発注書作成,制作,検収等を行う。 標準課題⑴および開発課題Ⅰ⑵の訓練全般については,以前論じた。本論は「見える化」への取り組みという観点について論じる。 職業訓練の指導理論のテキスト⑶から,指導方法の基本を確認する。訓練サイクルは,訓練計画の作成(Plan),訓練の実施(Do),および訓練結果の評価(Check)のサイクルとして示されている。 指導計画は,以下の手順が示されている。⑴ 訓練目標の設定⑵ 指導項目の選定⑶ 指導計画の3段階(導入・展開・まとめ)⑷ 指導の4活動(動機づけ・提示・適用・評価)⑸ 上記⑶の3段階に⑷の4活動を組み合わせ,指導案を作成 訓練評価の評価尺度として,妥当性,客観性,信頼性,経済性等が求められている。 Kerkpatrickによる評価方法⑷は,4レベルに別れており,以下のようになっている。  レベル1.Reaction:受講者の満足度  レベル2.Learning:到達度  レベル3.Behavior:仕事への活用度職業訓練の指導方法の「見える化」の考察

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