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5.教育訓練への活用6.まとめ4.考察3.2 解析結果<参考文献> 解析の目的は図2のシリンダの出力P0への影響と方向制御弁への圧縮空気の入力P1への影響についてとする。解析のレベルはすべてのコンポーネントの故障モードとしている。 今回は表1の発生頻度,影響度の評価点表による評価レベル付けと致命度,対策,対策順位については解析の目的から必要としないので表4で表すように故障モードとP0,P1への影響のみとした。 FMEAの解析結果である表4では出力(方向制御弁入口圧力P1),または,アクチュエータ出力(圧力P0)への影響の仕方で表している。 全部は示さないが,13のコンポーネントにおける故障モードは220件に上り,そのうち,15件(6.8%)はシステム内部の圧力が上昇する側の故障モードで,140件(64%)はシステム内部の圧力が低下する側の故障モードであった。また,残りの65件(30%)は安全に特に関しない故障モードであることがわかった。 現状の空気圧制御システムにおける圧力制御は図2のレギュレータにより流体の圧力が設定値以上になった場合に内部の流体をシステム外部へ開放し,システム内の流体の圧力を強制的に低下させることでシステムの破壊などを防止する機能を持つが,この場合の危険側の故障(圧力が低下できない側の故障)が考慮されていない。また,圧力が低下する側については何も行われていない。 解析の結果から安全に関係する故障モードは圧力が上昇する側,低下する側の両方に存在することがわかった。 したがって,空気圧制御システムの安全システムの構築には圧力の上昇と低下の両方を検出する監視機能が必要であり,ISO13849-1(制御システムの安全関連部)に沿った安全関連部としての監視機能の構築が必要である。-15-1)小野寺勝重:『実践FMEA手法』,日科技連出版社,20002) 中村・蓬原:「空気圧制御システムの論理構造とその適用」,日本信頼性学会 第19回 秋季信頼性シンポジウム発表報文集 pp73-7,2006.10.20 FMEAはグループによる実施が原則であり,グループ員の経験・能力が解析の質を左右することになる。 解析を行うに当たり最も重要なことは解析対象のシステムを理解していることであるため,学生に学ばせるには解析対象のシステムの選定が重要である。 図2のような課題であれば学生は専門課程における専攻学科の油空圧制御,専攻実技の油空圧制御実習で学んでいるため,解析を行うなかで信頼性ブロック図の作成,故障モードの抽出,影響度評価を行うことにより,空気圧制御システムの全体と各種コンポーネントの構造,動作などについてコンポーネントの説明書,テキスト,教材,図面などを見て理解する必要があるため学科,実習の復習となる。 さらに,機械のメカニズムを検証することから分解・組立作業や設計・製図に必要な能力を向上させ高い効果が予想できる。 空気圧制御システムで圧力上昇,下降の両側に安全に関係する故障モードが存在すること示した。 その結果,圧力上昇,下降についての監視機能が必要であり,ISO13849-1に沿った安全関連部の構築の必要性について述べた。 また,図2のような代表的空気圧制御システムを構成する機器におけるFMEA解析結果の教育訓練での活用について考察を行い,専門課程,応用課程による活用について述べた。安全に対する取り組み2

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