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2.2 FMEAの手順⑴図1 FMEA手順⑴解析などが目的であり自動車,家電,重電,鉄道などの多くの産業で使用されている。 ISO9000シリーズではFMEAが改善ツールとしてあげられている。また,ISO9000をベースとしたTS/ISO16949(自動車セクター規格)ではFMEAの実施が要求事項とされているため,自動車メーカはFMEAの実施を部品メーカなどに対して取引条件としている場合もある。 これらの背景からFMEAは製品の品質保証や改善には欠かせないツールであることがわかる。 FMEAはワークシート(表1)を使って,FMEA解析グループ(3〜5名)を編成して,図1のFMEAにおける解析手順により作業を以下のとおりに行う。 解析グループには解析対象システムについて経験があり高い技術レベルを持った中堅,ベテラン技術者を中心で構成するのが理想的である。技能と技術 1/2013-12-① 解析対象システムの理解 解析対象となる製品全体を理解していることであり,具体的には製品の機能,性能,構造,材質,システムとしての任務,製造方法,製造工程,使用環境,起動・停止,運転条件(運転頻度,稼働時間など),保全方法などを理解していることである。② 信頼性ブロック図の作成 FMEA実施での信頼性ブロック図はシステム,サブシステム,ユニット,使用機器(部品,機器,回路,モジュールなど)などの分解レベルを表している。すなわち,サブシステムや機器などの要素間の機能的な相互依存性を明らかにすることができるため,一つ部品で発生した故障モードが上位の機器,サブシステム,システムなどへの影響を追跡するために使用する。信頼性ブロック図の代わりに解析対象システムが機械や装置であれば全体的な組立図などを利用している場合もある。  ③ 故障モードの抽出   故障モードは機器や部品で発生する故障(機能停止型故障,機能低下型故障)の状態または現象である。 故障モードの抽出は,解析対象システムが運用されているときに発生する物理的,化学的,機械的,電気的,人為的などが故障モードの原因であり,アイテム(システム,機器,部品など)で故障が発生する仕組み(故障のメカニズム)を考察することが必要であり,漏れがないように抽出する。④ 影響度解析 影響度解析は部品で発生した故障モードのサブシステム,システムへの影響,安全性,経済性などにどのような影響が生じるかを定性的に求め,各影響について表2の評価点表により,評価レベルを決め,式⑴により各影響の評価レベルの合計を求めたのが影響度である。 影響度解析の範囲は製品によりすべてが異なるため企業または組織で設計改善または工程・作業改善をできるレベルであることが基本であるため解析グループであらかじめ設定しておく必要がある。

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