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5.おわりに図6 指導の過程技能と技術 1/2013図7 衆知法によるフライス盤にひそむ災害-10-<参考文献>育の基本を広げていく効果がある。 ゼロ災の理念を活用して,自分の気持ちや態度に気づきを向けることを重要視し,基本的な信念とか態度といったものを前提にして,それぞれのテクニックが形成されていくと考える。指導の過程(図6)において,テクニカルスキル,ヒューマンスキル,コンセプチュアルスキルの奥にあるものとして有用なゼロ災の理念を「メタスキル」として,より意識的,主体的に利用していこうということである。あるスキルを使う人がそのスキルを使うときの気持ちの在り方,小手先のスキルを超えた姿勢や態度,心のあり方など相手の思いを感じ取れる感性・表現のことを指す。若年者に対する安全衛生職業訓練は,ものづくりを追求する中で,改善を地道に積み重ねていく必要がある。安全衛生職業訓練として,知識の体系化,言葉の実践,文章の実践,行動の実践とつなげる必要がある。 次の目標は,リスクアセスメントの典型課題を見つけ,それを自分の意志で自由に研究し,学生指導に実践する必要がある。労働災害には至らないが,人が危険な状況や環境条件等に感覚的に「あぶない」,「有害だ」と感じ,ヒヤリとした,ハッとした出来事を調査した当校のヒヤリハット情報から,KYTの問題解決手法を用いて,学生に周知を行っている。 また,学生が危険の芽をどうとらえるかを「写真の工作機械(NC旋盤,NCフライス盤,平面研削盤,帯鋸盤)にひそむ災害」にて,ブレーンストーミン1)中央労働災害防止協会(編):『危険予知活動トレーナー必携』2)若松義人:『「価格半減」のモノづくり術』,PHPビジネス新書3)森 和夫:『技術・技能伝承ハンドブック』,JIPMソリューショングを行い,点数化(図7)を行っている。 技能・技術指導にステップ1,2,3があるならば,安全衛生管理の指導にもステップ1,2,3があり,体系的な指導・繰り返しの指導と,事業所としての体制が必要と考える。 「安全衛生の職業訓練=災害ゼロ」と,すぐに結び付かないが,繰り返し安全衛生職業訓練を行っていくことで,学生が企業の発展に貢献でき,自律的に安全を意識した行動が取れるようにしていきたい。日本のものづくりの高度熟練技能者が重要視している熟練技能の維持・継承に必要な安全・安心な職業能力の付与を若年者に伝えていかなければならない。報告した内容は,興味があるからやるというよりは,やるから興味ができる場合がどうも多いようである。学生への安全衛生職業訓練は,まだまだ多様な方法「理念・手法・実践」,伸び代がある。職業訓練の改善・発展のために,第71回全国産業安全衛生大会2012in富山に当校・安全衛生委員会から参加させていただき,本発表と多くの安全衛生活動の発表を傾聴し,安全衛生職業訓練が有用であることを確信できた。

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