4/2012
9/50

1.はじめに2.単元「木工・レザークラフト大販売会−Y千葉大学教育学部附属特別支援学校千田 恵一-7-2駅−」について特集 本校は,千葉市稲毛区にある特別支援学校で,知的発達に障害のある児童生徒72名が在籍している。小学部・中学部・高等部の3つの部からなり,小学部は生活単元学習(一定の期間,一定の生活上のテーマに沿った一連の活動に取り組む学習)と日常生活の指導を,中学部は生活単元学習と作業学習を,高等部では作業学習をそれぞれ教育課程の中心に据えて学校生活を整えている。卒業後の働く活動を中心とした社会生活につながるように,働く生活を学校生活に大きく位置づけ,社会とかかわる生活を大切にしている。 本校では,中学部にあいぞめ班,やきもの班,しいたけ班の3つの作業班が,高等部に木工班,レザークラフト班,手織り班,農耕班の4つの作業班がある。所属については,年度はじめに生徒の希望や保護者の希望を聞き,教師の思い,作業班のバランスなどを考慮し,生徒が納得して取り組むことができる所属となるように努めている。所属が決定したら,1年間同じ作業班で取り組む。中学部,高等部それぞれ3年間で,2つの作業班を経験できるように配慮している。 作業学習では,単に「ものづくり」に取り組むだけでなく,各作業班とも材料購入,納品・販売先との連絡・交渉,集金・支払い・会計処理など,作業班を運営するに当たって必要な活動を生徒が中心となって取り組めるようにしている。 特別支援学校に通う児童生徒たちは,とかく「できない子ども」と見られがちである。しかし,本校では子どもたちは「できる状況」に置かれていないから「できない」のであり,道具や補助具,本人の「やろう」という気持ちを盛り上げるような支援の仕方などを工夫して「できる状況」を整えれば,取り組めることが増えると考えている。現在,本校では,「共に豊かに生きる学校生活を目指して-子どもの思いに寄りそい,子ども主体を支える-」という研究テーマを掲げ,実践に取り組んでいる。1人ひとりの子どもたちの思いや様子を的確にとらえ,思いに寄りそった活動を用意し,「よりよくできる状況」を整え,満足した学校生活になるよう,日々「できる状況づくり」を徹底して追究している。 今回は,今年度5月に高等部木工班が取り組んだ単元(一定期間,一定のテーマをもって,見通しをもちやすいよう,活動にまとまりを作って取り組んでいる。その1つひとつのまとまりを単元という)を紹介する。 本単元は,レザークラフト班と合同で行う「木工・レザークラフト大販売会-Y駅-」に向けて,新製品「パネルキューブ」やウッドパネルの製作や販売会の準備活動に,みんなで力を合わせて取り組もうというものである。障害者に対する職業訓練2  障害者に対する職業訓練  特別支援学校における作業学習の取り組み

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る