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6.ユニバーサル農園の課題れ,障害者の働きの場が創出されました。現在は,足のリハビリを行わなくてはいけない障害者がこの機械を歩行器代わりに作業をしています。 足腰がふらつく障害者が働きにやって来ました。当然,安全に仕事をしていただくためには座ってできる作業を選択します。しかし,仕事を選択することによってこの障害者は,一日中座っているということになります。本来は,リハビリセンターで訓練することが望ましいのですがそうすると仕事はできなくなってしまうというのが実情なのです。 そこで,私たちが開発したのがリハビリ機能付き作業機械です。それまで手作業で行っていた作業を機械でしながらその作業台に自動昇降装置を取り付けました。10分間立って仕事をしたら10分間座れるように作業台が自動で上下します。 この装置のお陰で作業者は,座り続けて仕事をするのではなく立ったり座ったり(足腰のリハビリ)を繰り返すことができるようなったのです。この機械開発のお陰でリハビリが必要な人が仕事に就くと同時に農作業も10倍速く効率的になりました。働く人にとっても,職場にとっても良い仕組みとなったのです。-6- ここで面白いところは,通常リハビリセンターへお金を払って治療に行っている人が,農場に来れば賃金を頂いてリハビリが行えるということです。農業が生産の場にとどまらず,障害者の就労そして,リハビリ(医療)機能農場へと変化していくことは夢ではないと思っています。これには,大学の作業療法士の先生,機械メーカ,生産者,行政が研究チームを設立し実験を行っています。近い将来,農場は医療現場になるかもしれません。 これからユニバーサル農園が全国に広がっていけば,より多くの人たちが農業参画できるようになり低迷する日本農業が活性化するのではないかという夢を抱いています。 しかし,現状は程遠い地点にいます。今まで農業は家内産業として家族経営が基本であったため農園に雇用システムがないため研修や訓練などの受入れまでは進むのですが雇用まで進むケースは限られています。 また,今まで農業分野に就職というケースがあまりにも少なかったため就労を支援する方々が農業についての情報不足により農業分野への斡旋が行われてこなかった状況もあります。同じく,就労を希望する人たちも選択職種の中に農業がないという実態もありました。 これからは,農業情報をいろいろな分野の方々に発信することで農業の魅力を多くの方々に掘り起こしていただきたいと思います。 農家の長男が後を継ぐ農業から,だれでも参画できるユニバーサル農園が広がり多くの人の力が集まる産業に発展させたいと思います。リハビリ機能付き姫ねぎウレタン切断機技能と技術 4/2012

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