4/2012
4/50

3.全人的なかかわりとしての職業能力開発 その際,重要なのは,職業能力開発が単なるマッチングのために,障害のある人の不足を「指導して」「教える」という枠組みではなく,本来の職場におけるインクルージョンを促進するために,障害のあく,権利の主体であると位置づける考え方を踏まえると,単に「訓練をして,働き手に転換する」ための狭い意味での職業訓練では,今日的な障害のある方への支援観になじまない面があることも否定できない。技能と技術 4/2012あさひ まさや略歴1981年 国際基督教大学教養学部社会科学科卒業1981年 身体障害者雇用促進協会(現独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)入職1998年 日本社会事業大学院社会福祉学研究科博士前期課程修了1999年 埼玉県立大学保健医療福祉学部社会福祉学科 現在に至る-2-る人自身をエンパワメントすることを含めた包括的,相互性を持った全人的な取り組みとして位置づけられることであると思う。障害のある人にとって社会生活力を獲得するのは,職業能力開発の直接的な目的ではないが,結果として権利を行使するための基本的な力をつけていくことにつながれば,きわめて効果的である。訓練が障害者の就労支援の一部をなすのではなく,リハビリテーション,それも「全人的な権利の回復」としての機能を発揮したときに,職業能力開発の今日的な意義は,ますます高まるのではないだろうか。

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る