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3.計画の概要 東京スカイツリーの敷地は,北側に東武伊勢崎線の高架の鉄道,南は北十間川という細い川に挟まれ,非常に細長い形をしている。南北方向が100mほどしかなく,東西は400mほどある,面積3.7ヘクタールの敷地である。以前は東武鉄道の貨物ヤードとして使われていた(図1)。 地下には都営浅草線と,東京メトロ半蔵門線の2本の地下鉄が敷地を横断しており,押上駅(地下)が敷地の東側に位置している。 細長い敷地のために工事が難しいことに加え,伊勢崎線と2本の地下鉄も通っており,安全性の確保が絶対条件となった。 施設全体の名称は「東京スカイツリータウンⓇ」で,中心のタワーの足元には商業・オフィス・文化施設・プラネタリウム・水族館等が入る。 工事は,タワー・東街区・西街区と大きく3つに分割して行われた。大林組は中心のタワーを単独で,東街区の地上31階/地下3階建をJVで施工した。ちなみに西街区の地上7階/地下2階建は,大成建設を主体としたJVで行われた。 東京スカイツリーを世界のタワーと比較すると,エッフェル塔や東京タワーは鉄骨造であるが,これより高いタワーはベルリン・上海・モスクワ・トロントなどにある。これらは300〜500m級で,鉄筋コンクリート造が主流となった。コスト的には有利だが,長期間にわたって雨風や落雷にさらされると,表面が劣化してひび割れるとの指摘がある。 こうした事情を踏まえて,東京スカイツリーは中心部が鉄筋コンクリート造,外側の骨格を鉄骨トラス構造とした,ハイブリット構造である(図2)。 中国の広州タワーは2009年末に竣工したが,高さ600mである。東京スカイツリーと同時期に工事が行われたが,若干遅れてスタートした東京スカイツリーは,世界一の高さを誇りたいとの想いから,後に「武蔵の国」にちなんで634mと発表した。 ほかのタワーが建っている場所は大きな地震がほとんどないが,日本は地震大国であり台風も毎年襲技能と技術 4/2012-28-来する。東京は高いタワーを造るには,大変条件の厳しい場所である。これらを克服するためには,さ図1 敷地と建物配置図2 立面

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