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ロー・コンテクスト文化ハイ・コンテクスト文化特徴話し手が責任話が飛躍聴き手の能力に期待コミュニケーションスタイル単語を省略説明不足曖昧な表現論理的に話す省略しない質問に明快に回答明示的表現て,海外からの学生採用の割合を増加させ,その増加分を国内での採用数を抑制するという動きがみられる。 採用定数は増加しないまま,海外からの人材確保をすると必然的に国内採用の数が減ることとなる。 海外の学生は,知識・技術レベルも向上しており,チャレンジ精神が旺盛だという。 海外の学生の教育レベルが向上していることもあるが,プレゼンテーションの巧さも見逃せない。 グローバル対応を前提とした教育とは,語学教育の充実以上に,異文化コミュニケーション能力の向上,具体的には,以下に述べるロー・コンテクストを前提にプレゼンテーション能力を磨くことが要があると思われる。 「コンテクスト」とはコミュニケーションの基盤となる「言語・共通の知識・体験・価値観」などのことである。 コンテクストについては,基盤の共通性の高低によって,ハイ・コンテクスト文化とロー・コンテクスト文化に分けてとらえることができるという。共通するコンテクストの割合の高低によって,コミュニケーションの取り方が変わってくるという考え方である。ホールは,日本はハイ・コンテクストであり,話し手より聴き手の能力が求められるとみられる。言葉を省略して,会話が通じやすい文化とみている。伝える努力やスキルがなくても,お互いに相手の意図を察しあうことで,なんとなく通じる。いわゆる暗黙知のウェイトが高い「察しの文化」とされる。 学生が作成する応募書類や説明はこうしたハイ・コンテクスト文化の中で作成された感がある。 一方,欧米などのロー・コンテクスト文化ではコミュニケーションは徹底して言語によりコミュニケーションを図ろうとする。省略せず,誤解のない言葉にして話す聴き手より話し手に負担をかけることを前提にしたコミュニケーションスタイルである。そのため,言語に対し高い価値と積極的な姿勢技能と技術 4/2012-22-を示し,コミュニケーションに関する諸能力(論理的思考力やプレゼンテーション,説明力など)が重要視される。海外の学生のプレゼンテーションはロー・コンテクストを前提として構築されており,企業のニーズにより合うプレゼンテーションとなっていると考えられる。 ビジネスのグローバル化が益々進展し,ロー・コンテクストのコミュニケーションスタイル,すなわち省略しないコミュニケーションスタイルが一般化している。企業での採用試験ではロー・コンテクストを前提としたコミュニケーションが基本となる。 しかし,学生は単語そのものを省略したり,技術的な専門も周知のこととして使う話し方に慣れているため,ハイ・コンテクストのプレゼンテーションをしてしまうという問題が考えられる。 企業の面接官は技術系採用の場合でも,専門知識を持たない担当者することが多い。 そのため専門的な用語を多用したアピールはリスクを伴う。 特に技術系職種を目指す学生は専門用語を多用して知識の豊富さをアピールしようとする者が多く,本来伝えるべき内容をうまく主張できないという結果に陥りがちである。 面接官が使った用語について,その内容を質問することで本来確認するべき意欲や持ち味,さらに入社後の再現能力,学習する力などの確認をする時間を失うことになる。4.2 ハイ・コンテクスト文化とロー・コンテクスト文化4.3 学生の文化と企業の文化表1 コンテクスト比較

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