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1.精神障害者等の職業訓練広島障害者職業能力開発校梶川 晴二-13-3特集 平成17年に「障害者の雇用の促進に関する法律」が改正され,平成18年4月1日から,雇用率の算定対象に精神障害者が加えられるなど精神障害者に対する雇用対策の強化が図られ,精神障害者に対する職業訓練の重要性が増している。 さらに,同法の改正に伴い,平成22年7月から「障害者雇用納付金の対象事業主を301人以上の事業所から201人以上の事業所に拡大」「短時間労働(週所定労働時間20時間以上30時間未満)を障害者雇用率制度の対象に含める」こととなり,精神障害者等の就労環境の拡大が進められている。 こうしたなか,全国の障害者職業能力開発校で精神障害者等の受け入れが開始され,当校においても平成20年度より,精神障害者等の受け入れを開始したが,雇用環境の拡大ともあいまって,精神障害者等の当校への入校者は年々増加し,入校生(知的障害者を除く)に占める割合は平成20年度の11%から平成24年度の50%へと急増している。 しかし,精神障害者等に対する訓練への対応が十分ではなかったまま,既存の訓練科(集合訓練,10〜20名定員,7時限/日,1400時間/年)のカリキュラムと指導方法で受け入れているため,次のような多くの課題が生じている。 入校後,精神障害者等の場合,意欲・集中力・持続力の低下等が見られ,日常・社会生活機能においても,日・週・月等での調子の波があるなど,他の訓練生と同じペースで訓練を受けることが困難な者が多く,既存科(集合訓練)への受け入れは,円滑な訓練実施に支障を来たすこととなっている。⑴ 障害の状況(病状)が変化するため,同じペースで訓練を行うことが難しい。また,障害状況も人によってかなり差が見られる。→ 細やかな配慮,短時間訓練,個別の訓練目標⑵ 対人関係・就労および生活全般を含めた社会経験が不足している場合が多い。→ 適応支援,相談時間,仲間と話し合える時間⑶ 精神障害を持ちながら働くことへの不安が大きく,精神障害者雇用に理解ある企業を探すための困難が予想される。→ 精神保健福祉士等の専門職の配置,障害の正の設定。の確保。しい認識に基づく仕事への誘導。障害者に対する職業訓練31.1 現状精神障害者の年度別入校状況20年度21年度22年度23年度24年度精神障害者入校数11人14人23人21人33人入校生(知的障害対象科を除く)に年   度11%19%26%27%50%占める割合1.2 課題1.3 対応状況 ⑴ 健康面への対応 体調不良など健康面については,看護師および精  障害者に対する職業訓練  広島障害者職業能力開発校における取り組み

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