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1.はじめに2.多孔質炭素材料・ウッドセラミックス2.1 ウッドセラミックスとは図1 ウッドセラミックスの製造工程1),2) 東日本大地震は未曽有の災害をもたらし,津波災害は建材等の莫大な廃棄物を発生させた。廃棄物の処分については,地方自治体に協力要請を行っているが,十分な対応がなされておらず,緊急の課題となっている。廃棄物についての処分方法には,リユース,リサイクル,リデュース等の対策が行われており,廃棄物の新たな利用には人および自然に優しいことが条件となっている。また一方で,大震災がもたらした原発災害に代わる代替エネルギーの確保が急務となっており,再生可能エネルギーの開発が進められている。今,廃棄物の処理および再利用には環境に配慮していることが要求されている。また,新しい材料を開発するうえでも,環境に配慮した材料でなければならなくなっている。この環境に優しい材料の1つに,多孔質炭素材料・ウッドセラミックス1),2)があるが,この材料に代表されるように,生物系資源をベースとした木質バイオマスの開発が積極的に展開されている。 以前,「技能と技術」誌(2008年1号)に「ものづくりと環境問題」3)と題して報告したが,そこでは,「人材育成は能力開発そのものであり,これからの能力開発は環境を意識した人材の育成が必要である」と報告した。また,「私たち指導する側として,さまざまな環境問題に対してものづくりをどのように指導していけばよいのか,課題が残されている」と報告した。 そこで,本報告では,環境に優しい職業訓練とはどのようなものか,またいかに展開していくか,これらの課題を解決するための一助となることを期待して,環境に優しい生物系資源である木質バイオマスの開発現場について紹介する。 ウッドセラミックスは,植物系材料である木材あるいは木質材料等に熱硬化性樹脂(開発時ではフェノール樹脂,現在は液化木材を代替材料として使用)を含浸させ,これを無酸素状態で焼成(400℃~2800℃)させることにより製造される多孔質炭素材料である。図1に,ウッドセラミックスの製造実践報告千葉職業訓練支援センター秦  啓祐千葉職業能力開発短期大学校水渡 博幸青森県工業総合研究センター岡部 敏弘-27-~環境に優しい木質バイオマスの開発~ものづくりと環境材料

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