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10.まとめ9.5 ジョブ・カード様式の改善(様式3)…キャリアコンサルタントの記入欄の改善9.6 認定キャリア・コンサルタントの質的アップを技),③できる喜び(実習)を訓練生は味わい,④教える喜びを指導者は味わう。経営者も社員も,お互い「うれしいの変化」を味わうのである。 キャリアの見える化,キャリアを創るツール,社会共通のルールとして,今後さらなる推進を願う。(平成23年度よりジョブ・カード制度導入に当たってはキャリア形成助成金として経営方針等の事業内職業能力開発計画策定,能力開発推進委員の選定が求められるようになっている。) キャリアコンサルタントにおいて一番重要なキャリア・シート(様式3)に,コメントを記載するスペースの改善を望みたい。相談者との1回のキャリア相談には,約1時間かけており,職務経歴等による本人の強み,今後の課題等,キャリア・シートにまとめてコメントしている。このコメントは,手書きのほうが相互の臨場感,ふれあい感が湧き相互理解のコツにもなっている。しかし,現状のスペースでは,書きたいコメントが書けないため,キャリア・コンサルタントがパソコン入力で再整理する場合がある。(国は,平成24年4月に学生用ジョブ・カード様式を開発した。)  厚労省の平成21年度キャリア・コンサルティング研究会報告書6)にあるように,ジョブ・カードをより一層効果的に活用するため,キャリア・コンサルティングのあり方や今後の課題等具体的な提言が取りまとめられた。平成24年4月には,ジョブ・カード交付を担うキャリア・コンサルタントの資質の一層の向上に向け,ジョブ・カード講習の内容の充実が図られた。 私の経験からも相談者との信頼と共感による精神的な結びつきを前提として関係構築を図りながら,相談者の「自信」を高めるために,積極的傾聴・情報提供のスキルと相談者の背中の押し方等の実践的なスキルが特に重要であると認識している。技能と技術 3/2012-8- 背中の押し方の具体例として,20歳代の男性の相談過程を紹介する。職務経歴に基づき過去を振り返るなか(棚卸し)離転職の繰り返しが多く(職種もまちまち)自分に適した職業がわからないと悩んでいた。そこで,パソコンにより「職業理解,適職探しの職業ハンドブックOHBY」を提案し活用してもらった。その結果,相談者から「自分自身のことを客観的に知ることができた。」また,「向いていないと思っていた職業が実は向いているという意外な判定が出て,自分の意識が変わった。」明日からの就職活動する方向を見つけた。と言って明るい笑顔で相談を終えたことがある。このようにキャリア・コンサルティングに活用できるさまざまな情報や支援ツール理解し,それを活用できる能力も必要である。 日本における課題は,少子高齢化,人口減少社会などが指摘され,さらには昨年3月11日に発生した東日本大震災の復旧復興等先行き不透明ななかにあるが,政府が一昨年6月に策定した「新成長戦略」は,「元気な日本」を維持する今後10年間で実行すべき具体的対策と工程表が明記されています。 このなかにおいて,「雇用・人材」の戦略では,ジョブ・カードの取得者を2020年までに300万人,日本版NVQ(職業能力評価制度)について明記されています。(図はこれらの関係をまとめたものである。11)) 特にジョブ・カード制度のねらいは2つあり,1つは正社員経験のない人・少ない人,職業能力形成の機会に恵まれなかった人(フリーター,母子家庭,子育て終了後の女性,新卒者等)に対して企業の策定した訓練実施計画により実施,評価して正社員に登用する(非正規の支線から正社員の本線へのポイント切換え)ことと,もう1つは従業員自ら職業生活設計を行い,職業能力の開発を行うことができるよう,生涯を通じてキャリア形成するための国民の支援ツールとしてその役割が期待されています。時代,社会の変化のうねりのなかで自己啓発によるエンプロイアビリティーを意識してR,P,D,C,

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