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8.ソーラーモデル棟のまとめとなっている。 近年,手摺等への設置例などもあり,垂直面に対しても,パネル取り付けする例が見られるが,施工条件の関係であろうが,垂直0度に取り付ける例が報告されていた。これは寧ろ,パネル設置傾斜角度としては,水平に対して,理想的にはその土地の緯度の傾斜角度を確保し,太陽光が設置パネルに垂直に入射するようにすることが望ましいが,それが難しい場合でも,垂直0度ではなく,少なくとも垂直に対して15度くらいの勾配は確保したい。これにより集光効率はいくらか改善されて,動作効率もいくらか改善されると思われる。 このシステムを導入するうえで注意するべき点は,空気が循環するシステムなので,土台・大引き・根太などの下地材にも,健康的に問題のない材料を選定すべきであるということである。 換気システムを導入するためには,建築の周りの7.2 外気導入型太陽エネルギー利用システム  これは,モデル棟においては,太陽光発電パネルよりも,1年早く,第1期に,施工されている。太陽光発電パネルは,工場で品質管理されている製品でもあり,その出力にも,問題は少ない。これに比べると,外気導入型太陽エネルギー利用システムは,現場施工との関連性が強く,その性能は,施工精度の良否に左右されるところが大きく,施工面での配慮が必要であった。-37-環境を整えておく必要がある。植栽を植えるなど,地球環境にやさしい住宅設計が必要とされる。 換気システムは,別荘などのように長らく使用しない状況であると,虫がわく原因にもなるので,定期的に作動確認する必要がある。 住宅は,常に呼吸する生きたものなのである。 今回は,南屋根面の西寄りにソーラー発電パネル8枚を設置し,南屋根面の東寄りに外気導入型システムを設置している。建物の真南に対する軸線角度は,太陽光の理想的角度に設置する。その水平に対する設置傾斜角度は,年間を通しておおむねその土地の緯度に近いとされるが,例えば,夏の利用が多ければ,少し水平よりに角度を設置し,冬の利用が多ければ,少し立てた角度に設置するほうが良いとされている。 ここまでは,サステナブル建築の一環としての太陽エネルギー併用型住宅を,そのテーマとした報告である。 このソーラーモデル棟に関しては,着工から棟上,屋根工事,内外装の仕上げ工事,機器の設置,その後のデータ集計と解析,サーモグラフィー画像の撮影と解析,そして全体データ解析まで,7年間という歳月を掛けて,実習生と共に取り組んできたが,その意義は大きかったと考える。複数年かけて,1つのテーマと取り組むことによって,実習生間での伝達研修も実施し,専門課程の建築構法授業教材としても活用し,在職セミナー用教材としても,活用することができた。能開セミナー「住宅性能表示技術」において,「太陽エネルギー併用型住宅の設計・施工」においても,離職者訓練コースの住居環境システム科の木構造や居住プレゼンテーションの授業教材としても,現場見学を実施し,活用した。 写真9~13は,親子での「科学体験バスツアー」での,モデル棟見学の様子であり,実習生も主体的に,インストラクターとして参加し,よい経験に写真6 太陽光発電パネル取り付け工事写真7 屋根スペーサー施工部分技能と技術 2/2012写真8 ハンドリングBOX8.1 モデル棟実習に関する考察

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