2/2012
28/50

3.設計製作課題は,企業ごと固有の製品と製造工程があるからである。製作することを前提とした設計製図を行っていくことで,生産性という多くの現場に求められることを,学生の時代に経験できるという効果も期待できる。また,学生からみても,実践的なカリキュラムの期待と実際に製作し,設計の正しさが確かめられる点から,製作することは大きな意味がある。 そこでシラバスに仕事との関係を明確にし,反映させる目的で設計製作課題の能力要件シートを作成することにした。 授業科目のポイントは職業能力の3つの分野を言葉に換えた形式で表現しており,設計製作課題の能力要件シートもそれとの一致を考えて作成した。 また,本来機械設計製作にかかわる能力リストとして作成するが,2年間の段階的な習得の中の2年次に実施する課題であることから,1年次に履修している科目で習得できている能力と,これから習得していく能力リストがわかるように,1年次専門科目の項目を付け加えた。 表1が機械設計製作課題の能力リストである。 能力要件シートでは,仕事で分類して企業内教育訓練のカリキュラム作成に使用し,技術技能の伝承計画や能力開発に利用する。また,各人が個人評価できる仕組みもあり,自己評価によって到達度を知ることができる。学生らに能力要件シートを見せ質問したところ,「実習内容をより具体的につかむことができ,興味を持つことができる」「習得度合いが自己評価できる」「重要なポイントがわかり,積-26-極的に質問できる」「科目間の関連がわかりやすい」と回答する者が多数あった。習得目標が明確化でき,効果が期待できるものと思われた。 2年次に設計製作する課題の設計は,機構部分はシステム設計で行い,制御部分はメカトロニクス工学で行う。また,組立図,部品図の作成は1年次に習得した機械製図CADを使って行う。 システム設計では,機械装置に使用される主要な機械要素であるベアリングやモータ,ボールねじやガイドレール,ベルトなどメカトロ機器に使用する機械要素部品が習得目標になっている。技術計算も含まれているので設計製作する装置に含むよう課題設定した。 機械設計製図では、組立図、部品図を提出課題とする。学生は設計図上に市販部品を配置し、その組立を考えながら構造部品の詳細設計を行う。CAD上で詳細設計を行った後に部品図を完成させる。 制御科目では,設計製作する課題の制御部分が課題になる。1年次にはセンサ工学,シーケンス制御実習などの制御科目で制御プログラムについて学習しており,それを具体的に適用したメカトロ機器の製作技術の習得を目標とし,メカトロニクス工学の中で各種の電気系,制御系の図面作成や設計を行う。メカトロニクス実習,シーケンス制御応用実習では装置のプログラムを行う。電装系では回路図,フローチャートとともに,配線を考慮した制御装置図を作成する。カリキュラムで求められる水準が機械部,制御部それぞれにあるので,各科目担当で最終確認しながら最終的に決める。 実習場に整備されている工作機械類をすべて使用して製作に当たる。フライス盤,旋盤,ボール盤による基本の加工は1年次で履修しており,2年次は、数値制御加工実習の中でマシニングセンタ,実践報告2.3 能力要件シートの活用表1 機械設計部の能力リスト3.1 機械構造部の設計3.2 制御装置部3.3 機械加工

元のページ  ../index.html#28

このブックを見る