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4.運営するうえでの課題5.おわりに<参考文献> 学生サポートセンターを運営するうえでのいくつかの課題のうち,勤務時間の問題と個人情報保護の問題について述べる。 学生は授業の空き時間をみて,学生サポートセンターを利用することになる。しかし,毎日のように授業が詰まっているうえ授業への出席が必須になっている。アドバイザーに就職相談する場合は理解が得られやすいが,欠席が重なる前段階の学生は授業を抜けて相談に行きにくい。このため学生がカウンセラーのところを訪れたときには重症化しており,復帰までに長い時間を要したり,取り返しがつかなかったりという問題がある。広く学生に利用してもらうために,授業担当者の理解を促すと同時に,サポートセンターやカウンセラーの利用時間を昼休みや放課後にシフトする必要があると思う。このためには勤務時間の問題をクリアしなければならない。 従来は学校に提出された学生の個人情報を,担任やチュータだけでなく,科や授業を担当する先生方で共有してきた。そこには「学校に提出した情報は,学生のために校内で情報開示される」という暗黙の了解が,学生や保護者と学校の間にあったといえる。しかし,個人情報保護法ができて必ずしも情報開示の了解が得られているとは限らなくなった今日では,個人情報の取り扱いに注意しなければならず,情報共有を簡単に行うことが難しくなった。Y弁護士に尋ねたところ,「学生と個人的な信頼関係の上に知りえた情報に対しては守秘義務をもつし,学生の個人情報を他の先生から聞いた場合もまた同様の守秘義務をもつ」とのことだった。 学生サポートセンターでインテーク面接を行いカウンセラーやアドバイザーの先生方に学生を紹介するときや担当する学生をアドバイザーからカウンセラーにリファーするときなど,当然センター内での技能と技術 2/2012-18-1) 信州大学学生総合支援センターhttp://www.shinshu-u.ac.jp/campus_life/studentsupport/信州大学学生支援GPhttp://www.shinshu-u.ac.jp/good_practice/s_support/2)大阪大学学生支援ステーションhttp://www.osaka-u.ac.jp/ja/guide/student/support_st3)東京工業大学学生支援センターhttp://www.gakumu.titech.ac.jp/gakuseisien/index.html4)同志社大学学生相談窓口・その他http://www.doshisha.ac.jp/students/support/soudan.php5)一橋大学学生支援センターhttp://www.hit-u.ac.jp/shien/counseling/shien.html情報共有が必要になる。しかし,ハラスメントのように個人情報について明確な取り扱いの規定があるわけではない。せめてサポートセンター内だけでも情報共有できるように個人情報の取り扱いの規定をつくりたい。Y弁護士の話から,「学生の教育上有用であると考えられる場合は情報開示の可能性があることを伝えて事前に承認を取るべき」だと思った。さらに「学生サポートセンターは,外部からの不当な要求に対して学生の個人情報を開示しない権利を持たなければならない。」との指摘を受けた。 個人情報の問題は,サポートセンター内だけではない。担任や授業担当者(サポートセンター外)に学生の情報を伝えなければならないときや,科や系で学生のことを話すとき,この問題が関係する。訓練施設全体として個人情報の取り扱いをどのようにするのか規定されるべきだと思う。 ここに述べた学生サポートセンターは,2年前の3月に考えた構想に基づくものである。学生が豊かな学生生活を送れるような支援の仕組みができることを願っている。 個人情報の取り扱いについて教えていただいた弁護士の先生やアドバイスをいただいたカウンセラーの先生,意見交換させていただいた東京校の職員の方々に感謝いたします。4.1 スタッフの勤務時間について4.2 個人情報の取り扱いについて

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