1/2012
9/40

図2 「クラフトマン」の燃焼構造震災復興と職業訓練の取り組み②ついての講義・実習が設定されている。 平成23年度の学生構成は進学生が8名、企業からの派遣生が3名在籍している。この3名のうち2名が、このたびの大震災で津波被害の大きかった沿岸部(石村工業㈱(釜石市)、㈱エフビー(山田町))からの派遣である。 石村工業では震災前に専攻科への派遣を決めていたが、津波で建屋3棟のうち1棟は流出、残り2棟も大規模半壊(建屋2階まで浸水、1階部分は骨組みを残すのみ)という壊滅的被害を受けたため、派遣取り辞めは必至と思われたが、「こんな時だからこそ、会社を再建し、新規事業を立ち上げるための人材育成が重要」という社長の意向で、会社の中でも中核的立場にある45歳の小国氏を1年間派遣している。 東日本大震災以後、電力不足等を背景に自然エネルギーへの関心と需要が高まっている。太陽光をはじめ、風力、水力を利用した小規模発電、温泉熱や地熱などを利用した温度差発電なども非常に注目されている。発電による電力供給とともに、東北地方では寒冷期の寒さ対策をどうするかということも重要な課題である。石村工業では、自動機や省力化機械等の設計・製作を行っているが、10年ほど前から木質燃料の有効利用に着目し、薪ストーブやペレットストーブの独自開発・製造を行っている。中でもペレットストーブは、電力を一切使用しない「自重燃料供給方式」と、完全燃焼を実現する「ダウンドラフト燃焼方式」という独自の開発技術を採用している点が最大の特徴である。 図2に「クラフトマン」の「自重燃料供給方式」と「ダウンドラフト燃焼方式」の構造を示す。 最近では、ペレットストーブの特長を生かし、様々な機関と連携しながらペレットストーブを熱源としたスターリングエンジンの研究・開発等も進めている。 前述の「ダウンドラフト燃焼方式」を応用し、自社開発製品の産業用長時間燃焼型薪ストーブを図3に示す。およそ8時間の連続燃焼が可能である。ユーザーである農業関係者や工場経営者の方々からは、震災直後は電気が使えない状況が続いたため、この薪ストーブがとても役に立った、という言葉が多かった。同時に、さらに長時間燃焼可能で家庭用薪ストーブとして煙の出ないストーブを作れないかという提案がいくつかあったと聞いた。 そこでこれらの提案を具現化することは、「地域産業を支援することが震災復興にも繋がる」という社長の思いともリンクし、将来的には先に述べたスターリングエンジンの熱源として、自然エネルギーを利用した発電技術に貢献出来ると考え、この内容をオーダーメイドカリキュラムテーマに設定し、新しい燃焼機関の構築に取組むこととした。 燃焼の原理を分析し、基本機能展開を行い、TT3.抱える課題4.オーダーメイドカリキュラムテーマ選定−7−

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る