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図1 カリキュラムの体系 東日本を直撃したマグニチュード9.0の大地震とそれに伴う巨大津波によって、多くの尊い命と財産が奪われました。「人命が失われるような津波被害は今回で終わりにする」という決意のもと、災害の苦しみ、悲しみを乗り越え、「安全に、暮らし、働くことができる地域社会」を取り戻すため、科学的、技術的な知見に立脚し、沿岸地域をはじめとした岩手県全体が、東日本大震災津波を乗り越えて力強く復興するための地域の未来の設計図としての計画が策定(H23.8)された。 この計画では、本県として今後の8年間を3期(基盤復興期間(H23〜H25)→本格復興期間(H26〜H28)→更なる展開への連結期間(H29〜H30))に分け、復興に向けての目指す姿や原則、まちづくりのグランドデザイン、具体的な取組みなどが盛り込まれている。このうち本校の使命である「産業人材の育成」が、産業振興分野の要として位置付けられ、新たな産業分野にも対応できる人材の育成に期待がされている。 当校は、平成19年4月に産業技術専攻科生産システム技術コース(以下専攻科)を開設した。 専攻科は1年制であり、定員は10名である。学生は、短大課程等からの進学生と、県内企業からの派遣生を受け入れている。 カリキュラムは図1に示すように、3本の柱から構成されている。 1つ目の柱は、生産現場が実際に抱える生産工程の過程で生じる課題を企業から聴き取り、個人ごとに研究テーマとして設定し、それぞれの課題解決や課題達成に向けた生産現場における改善力、新分野開発に向けての実践力を養う「オーダーメイドカリキュラム」である。企業との連携による共同人材育成として、課題解決、課題達成に向けた生産現場力を修得するものである。 2つ目の柱は、生産システムの効率化や厳しい品質要求へ対応していくための「品質保証技術・生産管理」である。 そしてこれらの技術・技能の裏付けとなる機械・電気電子・情報分野の総合的な基礎知識と、機構設計・PLC、生産ネットワーク制御などの基礎技術に1.はじめに2.取組みの背景技能と技術 1/2012岩手県立産業技術短期大学校 産業技術専攻科 本間 義章石村工業株式会社 小国 克也−6− ①オーダーメイドカリキュラム 企業が実際に生産現場で抱える課題をテーマに設定し、企業と連携を図りながら課題解決の実践的なプロセスを修得する。②生産工学・品質保証技術 現場改善の進め方、品質の管理を実践することにより、ものづくりの流れにおけるIE、QC、VE、SE及び5源主義手法を修得する。③固有技術(専攻学科・専攻実技) 生産システム技術に関する技術・技能の裏付けとなる専門的な理論、工業英語、中国語会話や、生産現場で必要とされる加工、計測、解析及び設備保全、工程改善等に関する実践技能を修得する。震災復興と職業訓練の取り組み❷被災者に対する職業訓練や復興支援の取組みについて―企業と連携した人材育成による復興支援について―

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