1/2012
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 今回、「震災復興と職業訓練の取り組み」としてお話しをさせていただいて、最後にお伝えしたいことは、人と人とのつながりの大切さをつくづく身にしみて感じたことと、極限状況での人の行動がその人の本来の姿を示すものだということを痛感したことである。 震災発生時、津波に流された時、もし一人であったら生きる努力をあそこまでしただろうか、と今になると考えてしまう。「何とかみんなで生きぬかなければいけない」「もう一度家族に会いたい」と気持ちを奮い立たせた。すべて誰かのことを考えてできた行動だと思う。昔の映画の一シーンで主人公が言っていたことが本当の意味で理解できた。だからこそ人との関わり合いを大切にすべきだと改めて自分に言い聞かせた。 また、これほどの未曾有の災害に見舞われた時には、平常では繕っていたものは、全てはぎ取られ本来のその人の持つもの「本性」が見えてくる。壊滅状況となった職場をただひたすら片付け、何とかしたいと毎日くたくたになるまで作業をした指導員、職員、通常の業務の中で接していただけでは分からないその人となりまで感じ取れる、そんな関わりを感じた。 あの大震災は、経験すること自体低い確率の体験ではあるが、その大震災を経て「人とは」「仲間とは」を改めて考え直すことができ、さらに生きていく中で大事なものは何なのかを理解できたような気がする。 お忙しい中、お読みいただいている方々に、被災地に対する多くのご支援を心より感謝申し上げますとともに、私どもは、今後もできることを着々と進めて参る所存でおりますので末長くよろしくお願い申し上げます。4.おわりに−5−震災復興と職業訓練の取り組み①

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