1/2012
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有害物とで工業用の防塵マスクをしなければとても作業できない、しかも海水がヘドロのため流れず溜まっているため足元が滑りやすく、軍手はすぐに使えない状態となる。施設内は電気が使えないので薄暗く、しかもありとあらゆるものが津波で流されグチャグチャなので慎重に作業しないと怪我をしてしまう。 通路だけでも通れるようにするためには、ヘドロ、倒れた自動販売機、玄関部分にあった泥取りマット(ヘドロまみれのためかなりの重さになっている)を取り除くのに大勢の力が必要となった。毎日この作業の繰り返しが延々と続く。肉体的にも精神的にもヘトヘトになりながら瓦礫処理を続けていった。業者の方々の手もかりて本館だけは瓦礫処理が終わった。 このころになると、仮設施設で訓練を再開する話が出始めて少し先が見えてきた。毎日、出口の見えない洞窟にいるようで目的や目標が見えず、作業への意欲も消えかけてきたころなので救われる気持ちがした。 それからは、訓練施設としての本来の業務である訓練計画の立案、訓練機材の調達、訓練担当の調整などが始まり、施設全体がようやく活気を見せるようになった。その後、仙台のオフィスビルで3コース、しばらく時間をおいて東北本線館腰駅(名取)そばの仮設実習場で6コースの訓練を開始し、訓練生が集まる施設として動き出した。名取の実習場は、ものづくり分野として、機械加工、金属加工、設備保全、電気設備、電気通信、建築施工を実施し、名取市内では初めての公共職業訓練施設として運営を始めた。 名取実習場は、既存の建物を改修した部分と新規に整備した部分とから成り、最低限の訓練施設としての機能を準備した状態で、多賀城のセンターと比較するとかなり劣った部分が多い。訓練生が十分な訓練スペースや休憩スペースの無い中で、一生懸命訓練に取り組んでくださっていることが救いに思える。3. 仮設施設での訓練再開へ技能と技術 1/2012−4−

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