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3-1 3分間の時間設定3-2 出題形式とレベル設定3-3 信頼関係の構築3-4 期待できる効果4-1 グループ分け第1グループ(高速) 第2グループ(中速) 第3グループ(ゆっくり) 第4グループ(マイペース)  また、九九を曖昧に記憶している訓練生に対し、「覚える」という作業を指示しても、抽象的すぎて伝わらない。「覚える」という作業には、「何度も書く」「何度も読む」などが一般的だが、その他にも「覚える」方法はいくつもある。その中で、彼らには「条件反射」という方法が最適と考え、当トレーニングに取り入れるに到った。 当トレーニングでは、3分間という設定時間を設ける。 訓練生は就職し一般社会に出ることを前提に毎日訓練に取り組んでいる。では、一般社会において、どういったやりとりが考えられるだろうか。例えば、「ここにいくつ並んでいるか」と問われたとしよう。1列5本の鉛筆が3列ある。数えて掛け算をして「15本」という答えが5秒程度で導き出されるであろう。数える行為に3秒を要したとしたら、掛け算にかける時間はおよそ2秒である。九九は全81問×2秒=162秒となり、概ね3分である。そこで、3分間という時間設定にするに到った。3分間では、全ての問題に取り組めない訓練生がいることも事実だが、設問に工夫をすることで、取り組む問題の偏りを解消することができる。 また、全問題を1分40秒〜1分50秒で終了できる訓練生には、トレーニング終了までの1分程度の待ち時間が発生する。これに関しては、正確性を重視させることとする。 仮に、この設定時間を計算スピードの遅い訓練生に合わせ「10分間」とすると、全員が達成感を得られるものの、大半の訓練生が長く待たなければならなくなり、緊張感に欠けるだろう。 また、脳科学的な観点にも由来する。「短期集中」は、前頭連合野に刺激を与えることができる。前頭連合野とは、反射反応や集中力の訓練に必要な部分で、時間を区切って集中させると良い刺激を与えられると言われている。 九九全段を3分間で終わることができない。計算スピードの遅い訓練生を考慮し、出題形式を工夫することで、取り組む問題の偏りを解消することができる。また、レベルをいくつか設定することにより、計算スピードが遅い訓練生のみならず、計算スピードが速い訓練生にも対応し得るものにすることができる。 「3分間集中すること」を約束させ、それを守るよう指導することにより信頼関係の築き方にも言及することができる。 また、能力差に関係なく一堂に会しトレーニングに取り組むことで、クラスに一体感が生まれ、励まし合うなどの信頼関係を築くことができる。 計算が速くなることの他に以下のような効果も得られる。・毎日取り組むことで、頭の回転が速くなる。・クラス全員が、同じ目標(計算スピードを上げる)を揚げ、同じこと(掛け算トレーニング)に取り組むことで、一体感を得られる。・単独では行いにくい、頭のトレーニングを行うことができる。 あらかじめ何度か九九テストを実施し、タイムを計る。計算タイムによって、以下のように4グループに分ける。3.当トレーニングの概要4.実施方法技能と技術 4/2011−2−1分20秒〜1分40秒1分50秒〜2分10秒2分20秒〜3分3分〜10分

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